事実上ハイブリッドの新型「ワゴンR」は燃費だけじゃない! 快適性も向上:今井優杏のエコカー☆進化論(13)(2/3 ページ)
2014年8月にマイナーチェンジを行った、スズキのハイトワゴンタイプの軽自動車「ワゴンR」。モーターによる走行アシストが可能な「S-エネチャージ」を新たに採用したことから、事実上のハイブリッド車と言っていい仕上がりになっている。今回は、燃費だけにとどまらない新型ワゴンRの魅力を紹介する。
三菱電機製のモーター機能付き発電機を搭載
しかしこれではハイブリッドとは言えません。だっていくらエネルギーを回生していたって、異なる動力を2つ備えるというハイブリッドの定義には添いませんものね。
S-エネチャージは、従来のエネチャージのオルタネータに代えて、発電量が従来比30%アップという、より発電効率の高い三菱電機製のモーター機能付き発電機=ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を採用しました。このISGは、従来のオルタネータがあった場所にそのままスポっと収まる小さな機構で、スターターモーター機能とモーターアシスト機能を兼ね備えているのです。
そう、このISGこそが実質ハイブリッドである証。繰り返すようですがハイブリッドの定義は「2つの異なる動力源を持つ」ですから、モーターで走行をアシストすればそれはハイブリッドと呼べるものになります。
トヨタ自動車の「プリウス」のように、加速もしくは巡航時にモーター走行をするという、電気自動車寄りのフルハイブリッドではありません。S-エネチャージはスロットルを開け続けた状態にある加速時にモーターアシストをする、いわゆるマイルドハイブリッドです。そのアシスト領域は、最大6秒間、速度域は時速15〜85kmの間です。
試乗してみると、走りの質感はマイナーチェンジ前の従来モデルと大きく異なっていました。
S-エネチャージのアシストはトルクを足すというものではなく、あくまでもエンジン出力を10%抑え、燃費に貢献するものだとされています。しかし、実感としてその加速感は、レスポンスがよりシャープになっていると感じました。電気的にアシストしてくれますので、アクセルペダルの踏み代に添ってきっちり速度を上げてくれるような印象です。
というわけで、顕著にISGの効果が出たのがJC08モード燃費。カタログによりますと32.4km/l(リットル)ですって! ライバルに大きく差をつける数値をたたき出してしまいました。
さらに、数値上にはあんまり出てこないですが、これはイイ! とうれしくなっちゃったモノがISGのスターターモーター機能。
これまではセルモーター式だったため、エンジン始動の際にギヤのキュルルっという金属音が大きく響いていたのですが、これも改善されました。ISGはクランクシャフトをプーリーとベルトを介して回すのです。だからエンジン始動時の騒音も、劇的に減りました! まるで1クラス上のクルマになっちゃったかのような滑らかさ。
しかも、エンジン始動からアイドリング状態に移行するのも自然。これもISGの功績によるもので、従来のセルモーターでは再始動時、300rpm程度にしか設定できなかった回転数を、ISGは600〜700rpmにまで引き上げることができるのです。ほぼ通常のアイドリング値を、始動してからすぐにキープできるということですから、快適性も高いですよね。
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