事実上ハイブリッドの新型「ワゴンR」は燃費だけじゃない! 快適性も向上:今井優杏のエコカー☆進化論(13)(1/3 ページ)
2014年8月にマイナーチェンジを行った、スズキのハイトワゴンタイプの軽自動車「ワゴンR」。モーターによる走行アシストが可能な「S-エネチャージ」を新たに採用したことから、事実上のハイブリッド車と言っていい仕上がりになっている。今回は、燃費だけにとどまらない新型ワゴンRの魅力を紹介する。
とうとう来たか! と思いました。
自動車開発は今や生き馬の目を抜くほどに加速しています。ほんの1世代前なら、設計から発表まで通常5年以上を費やしていた開発期間が、今や3年程度に短縮されているモデルすら存在する(!)時代。
その大きな理由の1つとして、コンピュータを活用した解析や設計の技術などの向上が挙げられます。実車を使わずともコンピュータ上だけでテストができる範囲が増えた=バーチャルとリアルの数値上の誤差がどんどん縮まっているっていうコトなのですが、結果、開発コストと期間を大幅に短縮できるようになってきているのです。コレはあらゆるモノづくり業界でも同じことがいえるのではないのでしょうか。
ですから、自動車についても「わお! これって超21世紀的!」なんて感激するくらいのミラクルは、いつ起きたって不思議じゃありません。
しかし今回取り上げるテーマは、何というか個人的に、「とうとう来たか」と驚くとともに、しみじみ「ああ、もう未来なんだなぁ」と感じ入ったと言いましょうか。
それというのも、かつて軽自動車販売台数7年連続ナンバーワンを獲得したスズキの「ワゴンR」がビッグマイナーチェンジを果たしたのですが、知ってますか皆さん、このたび発表された新型ワゴンRは、何と“事実上のハイブリッド”なんですよ。
既にテレビCMでも放送されているので、「S-エネチャージ」という名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、それがまさにそうなんです。
今回の「S-エネチャージ」は、従来の「エネチャージ」をさらに進化させたものとなっています。
従来のエネチャージは、オルタネータで減速時の運動エネルギーを電力に変え、鉛バッテリーとリチウムイオン電池に充電するエネルギー回生機構でした。まさに、エネルギーをチャージする、エネチャージというわけですね。この充電した電力は、アイドリングストップ中に、カーオーディオやワイパー、エアコンなどの電装系システムを動作するのに使われていました。方向指示器とかランプなんかもそうです。
じゃあ、エネチャージのようなシステムが付いていないクルマは、一体どうやって乗員に音楽を聴かせたり進行方向を照らしたりしていたのかというと、電力源はもちろんエンジンから取っていたわけですね。つまり、エネチャージ搭載以前のワゴンRは、エンジンのパワーの幾分かを走行のためではない部分に割いていました。軽自動車の中でも、大きな室内空間を持つワゴンRのようなハイトワゴンにとって、排気量がわずか660ccという小さなエンジンパワーの幾分かを走行でない部分に奪われるのは痛い支出です。ですから、エネチャージは回生エネルギーでその支出を賄い、走行のためにエネルギーを多く使えるようにしたものでした。
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