拡大進むJTフォーマット、Androidやウェアラブル端末への対応も:製造ITニュース
シーメンスPLMソフトウェアは、同社が推進する3D製品定義データのオープンフォーマット「JTフォーマット」の動向に関する記者説明会を開催。活用が進む現状の紹介とともに、Windows 8.1やiOSなどモバイル環境を意識した新たなプラットフォームへの対応状況などを説明した。
米国Siemens PLM Software(以下、シーメンスPLMソフトウェア)は2014年9月18日、同社が推進する3D製品定義データのオープンフォーマット「JTフォーマット」の動向に関する記者説明会を開催。活用が進む現状の紹介とともに、Windows 8.1やiOSなどモバイル環境を意識した新たなプラットフォームへの対応状況などを説明した。
JTフォーマットは、3D製品定義データの取り込みと再利用を可能にする軽量、柔軟なファイルフォーマット。3D製品情報を用いたコラボレーション、検証、可視化を実現できる(関連記事:JTフォーマットの開発の狙いと仕様)。
また開発元のシーメンスPLMソフトウェアがオープン化を進めていることもあり、同規格のベストプラクティスなどを共有するコミュニティ「JT Open」には、シーメンスPLMソフトウェア以外のCADベンダーなども参加。ユーザーの利便性向上に取り組んでいることも特徴だ。2012年にはISO国際規格に承認されており、ダイムラーなどの自動車分野や航空・宇宙分野などをはじめ、全世界の多くの製造業に利用されている(関連記事:ダイムラーがエリジオンのJTデータ変換ツールを公式採用)。
シーメンスPLMソフトウェア シニア・バイスプレジデント兼CTOのポール・シッキング(Paul Sicking)氏は、JTフォーマットの利点について「データの自由度」を挙げ、特に3つのポイントがあると述べる。
「JTフォーマットのメリットは、柔軟な形で製品を表現できる自由度、さまざまな環境やツールからアクセスできる自由度、ユーザー企業がサプライヤや他部門とコラボレーションできる自由度、の3つの点だ。国際認証を持ちデータをより信頼度の高い形で保存、共有できることで、製造業としてより効果的な取り組みを行うことができる」(シッキング氏)。
例えば、3次元データの長期保存を検討する際に、ツールに依存するCADのネイティブデータのままでは、数十年後に利用できない可能性がある。これをJTフォーマットで保存しておくことで、CADツールが変わったとしても変換して利用することが可能となる。
また、自動車メーカーがサプライヤーとのデータのやりとりを行う際に、いちいちCADを統一するのは大きな負担となるが、JTフォーマットを利用することで、これらの手間を軽減することが可能となる。「実際にダイムラーでは、ティア1、ティア2クラスのサプライヤとのデータ共有にJTフォーマットを利用しており、JTフォーマットへの有効なトランスレータを利用していることがサプライヤとしての契約条件に入っている」とシッキング氏は話す。
Androidやウェアラブル端末への対応も検討中
JTフォーマットは、軽量で自由度が高いため、タブレットなどのモバイル端末でも閲覧できる。JTフォーマットのビュワーである「JT2GO」は既に60万ダウンロードを超えたという。さらに、新たにWindows 8.1やiOSに対応したバージョンをリリースした他、Androidへの対応も現在準備中で「一部で利用を開始し現在フィードバックを得ているところだ。基本的にユーザーの要望のある主要プラットフォームには対応していく方針だ」(シッキング氏)。
今後は「ウェアラブル端末などへの対応も意識している」(シッキング氏)とし、製造現場での利便性の向上などに取り組んでいくという。
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