ダイムラーがエリジオンのJTデータ変換ツールを公式採用:製造ITニュース
エリジオンは、ダイムラーが進める製品関連情報の一元管理プロジェクト「PLM2015」において、3次元CAD「CATIA V5」のデータをJTデータに変換するツールを提供することを明らかにした。
エリジオンは2014年7月11日、ダイムラーのサプライチェーンで使用されるJTデータトランスレーターの公式プロバイダーに認定されたと発表した。エリジオンは今後、ダイムラーが進める製品関連情報一元管理プロジェクト「PLM2015」において、3次元CAD「CATIA V5」のデータをJTデータに変換するツールを提供する。また、同ツールは、ダイムラーのデータ授受システム「SWAN」に組み込まれ、ダイムラーとサプライヤー間におけるデータの変換をサポートする。
JTデータは、シーメンスが開発した製品の3Dデータ表示と再利用を可能にする製造業界向けの軽量ファイルフォーマット。現在、さまざまな業界で課題となっている製品データフォーマットの標準化や、オープンフォーマット化に対応したデータ形式のうちの1つだ。2012年には国際標準化機構(ISO)により国際規格として承認されている。
一般的に製造業のサプライヤーは、自社で構築したCADやCAEシステムのファイル形式を、OEM取引先が使用する別のファイル形式に合わせて変換する必要がある。近年、自動車業界では、異なる会社間で設計データを迅速かつ正確に受け渡しできる体制を整備することが重要となっており、ダイムラーはJTデータの「Version 9.5」を、サプライヤーとのデータ共有フォーマットの1つに規定していた。
今回、ダイムラーからの公式認定を受けるためには、JTトランスレーターをダイムラーの製品データ管理システムである「Smaragd」に適応させ、ダイムラーとサプライヤー間でのメタデータ・属性マッピング情報などの共有を実現させる必要があった。エリジオンはこの要件を満たすため、CADデータに含まれる属性や寸法・注記・記号などのPMI(製品製造情報)を変換する既存技術の改良を行った。その結果、今回ダイムラーが行った製品ベンチマークテストと審査を通過し、JTトランスレーターとしての公式認定に至ったという。また、これまでの日本国内におけるJTデータの変換・活用サポートの実績も評価につながったとしている。
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