あのUS-2の部品も管理!? 新明和工業が航空機開発の情報管理に富士通のPDMを採用:製造IT導入事例
新明和工業 航空機事業部は、富士通のPDMソリューション「PLEMIA」を活用した航空機設計部品表統合システムを構築。システムが本稼働したことを明らかにした。
新明和工業 航空機事業部(以下、新明和工業)は、富士通のPDMソリューション「PLEMIA」を活用した航空機設計部品表統合システムを構築。システムが本稼働したことを明らかにした。
航空機は、設計・製造から修正・廃棄までのライフサイクルのどの段階でも機体や部品の正確な情報を把握できる「号機ごと」の形態管理が要求される。また、航空機は、長いもので50年も使用され、その間さまざまな改修が行われる。そのため、数百万点に及ぶ部品表データを交換履歴も含め保管することが義務付けられる(関連記事:飛行機を作るには何が必要? なぜクラウドなのか)。
新明和工業は、国内防衛・民間航空機の多種多様なコンポーネントの開発・製造を手掛ける航空機メーカー。波高3メートルもの荒海に着水できる救難飛行艇「US-2」の開発・製造などで高い評価を受けている。
これまで、新明和工業では、一部を除き、設計業務で活用する設計部品表は紙ベースで管理されており、過去データを検索するなど設計部品表データの有効活用ができない課題があった。また、生産技術部門で管理している製造部品表システムに連携するには手入力する必要があり、作業効率面で問題を抱えていたという。
そこで、新明和工業では、設計部品表データや業務プロセスを一本化できる航空機設計部品表統合システムを構築することを決め、富士通の「PLEMIA」をベースにしたシステムを構築した。
同システムは、「PLEMIA」をベースに、最小限のアドオン開発で機種ごとに異なる構造の部品表データを航空機業界特有の「号機ごと」の形態管理に対応させた。また、汎用的なデータ取り込み機能により将来の機種増加にも柔軟に対応。電子化とともに情報の一元化を実現したことで設計部品表データの有効活用できるようになり、生産技術部門が活用する製造部品表へのデータ連携を実現した。
富士通では、川崎重工業(以下、川崎重工)航空宇宙カンパニーの「次世代設計部品表統合システム」の構築にも携わっており、今後も同分野での拡大に取り組んでいくという(関連記事:川崎重工、航空機の設計情報を管理するシステムが本稼働――100万点の部品を管理)。
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