新型「ハイゼット トラック」は農業女子と高齢者を意識:スズキ「キャリイ」と比較(2/4 ページ)
ダイハツ工業は、軽トラック「ハイゼット トラック」の新モデルを発表した。軽乗用車と同様に多様化する顧客の需要に応えて、全8色のボディカラーや用途や志向に合わせた装備パックを用意するとともに、軽トラックのJC08モード燃費でトップとなる19.6km/l(リットル)を実現した。
燃費/安全/防錆性能を強化
2つ目の特徴は「経済的」だ。ガソリン価格の高騰に加えて、軽トラックが広く利用されている農村地域などでのガソリンスタンドの減少もあって、燃費向上に対する要望は強い。そこで、軽乗用車に適用してきたイーステクノロジーのうち、軽トラックに必要な技術をピックアップして適用した。エンジンは圧縮比を10.8から11.3に高め、変速機については5MTの5速をハイギヤ化するなどした。これらの他、リヤデフオイルを低粘度化するなど駆動系の損失も減らし、充電制御や省電力フューエルポンプも採用している。
これらの取り組みによりJC08モード燃費は、従来モデルの16.8km/lから約17%向上して19.6km/lとなった(スタンダード“エアコン・パワステレス”グレードの2WD/5MTモデルの場合)。なお、他グレードの5MTモデルのJC08モード燃費は、2WD/4WDとも19.0km/lである。また、先述した電子制御式4速ATモデルのJC08モード燃費は18.4km/lとなっている。
3つ目の「頼れる」は、安全性能と防錆性能の向上である。まず安全性能については、ボディ骨格の見直しや高張力鋼板の採用により、2011年4月から商用車への適用が始まった「56km/hオフセット衝突法規」に対応可能な骨格構造を実現した。運転席のエアバッグと、運転席と助手席のプリテンショ&フォースリミッター付きシートベルトは標準装備になった。
農業や建設業、漁業などの厳しい環境で使用される軽トラックでは防錆性能が重視される。新型ハイゼット トラックは、アッパーボディ表面積の全てに防錆鋼板を用いるとともに、フレームの防錆鋼板使用率も高めた。また、防錆性能を高めるためにフロントパネルを樹脂化した。従来通りの鋼板だと、飛び石によって塗装が剥がれ、そこから錆が発生していたという。5年のボディ外板穴あき錆保証、3年のボディ外板表面錆保証は全グレードに適用されている。
農業女子プロジェクトから生まれた「農業女子パック」
4つ目は「選べる」だ。従来モデルは農業用だけだった装備パックを、選べるシリーズ「ぴったりぴっく!」として9種類用意した。ベース色である「ホワイト」以外の7色からボディカラーを選べる「選べるカラーパック」をはじめ、メッキ加飾などの「スタイリッシュパック」、室内装備を充実させる「キャビンパック」、荷台の使い勝手を増す「荷台パック」、助手席エアバッグとABSをセットにした「安全パック」、キーレスエントリーやパワーウィンドウなどの「省力パック」、防錆性能をさらに高める「ストロング防錆パック」がある。
これらの他に、軽トラックを利用する機会が増えている女性向けに、UVカットガラスやバニティミラー、スーパークリーンエアフィルターをセットにした「ビューティパック」を用意した。そして、9つ目の装備パックとなるのが、ビューティパックと選べるカラーパックを組み合わせた「農業女子パック」である。
ダイハツ工業は、アベノミクスの成長戦略である「攻めの農業」と「女性の活躍推進」を柱とした農林水産省の「農業女子プロジェクト」に自動車メーカーとして唯一参加している。この農業女子プロジェクトから生まれたのが、農業女子パックだ。三井氏は、「農業女子プロジェクトによる新産業振興に貢献したい」と意気込む。
さらに2014年末までに特装車両の展開も拡大していく。頭上空間を広くした「ハイルーフ」や、軽トラックではハイゼット トラックにしか設定されていないキャビン後部を延長した「ジャンボ」、「ダンプシリーズ」、「保冷・冷凍車シリーズ」を順次投入する方針だ。
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