お金の専門家が語る、クラウドファンディングにおける税務とは:zenmono通信(2/3 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回はクリエイティブ系領域からの依頼が多いという会計の専門家に、クラウドファンディングにおける税務のポイントを聞いた。
enmono三木氏 Arts and Lawは、どういうサービスを展開されているのですか?
山内さん 基本的なサービスは、アーティストやクリエイター、創作や表現をする方々への無料の法律相談といったサービスです。例えば著作権のことや契約のことなどを相談したいと思っても、専門家とアクセスする手段を持っていないケースも多く、そうした課題と向き合い、創造的な活動を支え、世の中を面白くする、というだいご味をメンバーが共有していると思います。
enmono三木氏 Arts and Lawに届く会計・税務系の質問メールには、山内さんが回答されているんですか?
山内さん 会計・税務の領域は一度のご相談で、最適な意思決定を行い、効果的なマネジメントを行うということが、必ずしも簡単ではない領域なので、スポットで相談窓口でご相談を受けるということは、現在はやっていないです。ただ、そのかわり、セミナーや勉強会など、文化芸術団体やクリエイターがお金や税務に対する感覚を持てるような場を意識的に作って、情報発信をするなどしています。
enmono三木氏 前からアーティストの展示会やイベントに行かれていたのですか?
山内さん 美術館に行ったり展示を見るのは大好きでした。
enmono三木氏 われわれも税務のことなどを山内さんに相談させていただいているんですけれど、アーティストのネットワークが多いですよね。
山内さん 自分で表現・創作している人たちが周りにいた影響もあると思います。
enmono三木氏 クラウドファンディングについてもご存じでしたね。ですから、山内さんに最初にお会いした時、クラウドファンディングの説明から始める必要がありませんでした。そういう税理士さんを探していたのです。相談も気軽に、ほぼフェイスブックでやり取りさせていただいています。
enmono宇都宮氏 そういう税理士さんって、少ないですよね。
山内さん 日本でクラウドファンディングが盛り上がってきたのが東日本大震災直後で、私が独立したのもちょうど同じ時期でした。興味があり、周辺からも多くご相談が寄せられた時期でもあります。その辺の動きを直接肌で感じる立場にありました。
enmono三木氏 山内さんは、どういった方の依頼だったら受けてくださるのですか?
山内さん やはり、パートナーシップのような関係性でないと、互いに良い関係でお仕事ができないと思います。文化と経済的なもの、これらのバランスはカルチャーを創っている経営者の方にとって、常につきまとっている課題です。実践しているからこそ妥協できず、お金のことと向き合わなくてはいけない。けれど、経済性の追求だけでは失われてしまう何か、と向き合い、本質的に育む姿勢とセンスが常に問われている。そのジレンマを共有しながら、専門性に立脚して、よりよいマネジメントのあり方を探っていくようなパートナーシップ関係が私の理想ではあります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.