お金の専門家が語る、クラウドファンディングにおける税務とは:zenmono通信(3/3 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回はクリエイティブ系領域からの依頼が多いという会計の専門家に、クラウドファンディングにおける税務のポイントを聞いた。
寄付型と購入型、税務上気を付けておくべき留意点
enmono三木氏 クラウドファンディングは最近ようやく、中小企業も使うなど一般化してきました。とはいえ、クラウドファンディングに関する税務的のことなど、分からないこともあるかと思いますのでお話を伺いたいです。
山内さん 国内のクラウドファンディングのプラットフォームは、主に寄付型と購入型に分かれるかと思いますが、プロジェクトを起案し、それをクラウドファンディングで告知してお金をもらうプロジェクトオーナー側には、特に税務上気を付けておくべき留意点があります。
例えば、寄付型に関しては、「個人から個人」、「法人から個人」、「個人から法人」、「法人から法人」といったそれぞれのパターンごとに税金の取り扱いを正確に押さえる必要があります。例えば、受け手が法人の場合、寄付収入は益金として法人税などの課税対象になります。また、「法人から個人」への寄付の場合、所得税のことを気にする必要があり、「個人から個人」に寄付をする場合には、贈与税の問題が付きまとう、といった具合です。
一方、購入型について。見返りを求めないのが寄付型だとしたら、購入型は何らかの見返りを求めます。「購入」なので何かしらリターンをいただくのですが、「金額は大きいけれども、リターンがお礼状1枚」というような曖昧なケースもあります。単に購入型クラウドファンディングサイトに掲載中のプロジェクトだからといって、経済的な実質が必ずしも購入と言えるかは疑問です。都度都度、リターンなどの性質を考えながら、実態を整理する姿勢が重要かもしれません。先ほどの例だと、寄付的な性質が強いのではないかと思います。
enmono三木氏 モノが戻る場合は、「売買」と。
山内さん 購入型に関しては、受け手としては予約販売をしていることになりますので、サクセス(資金調達に成功)したとしても、サービスや商品を提供するまでは成果をお引渡しする義務は完了していません。いつ売り上げが立つかというと、前受金をいただいたときではなく、引き渡して販売が完了した時というのが会計のルールです。引き渡しまでに時間がかかり、期をまたいでしまう問題もありますから、そこは気をつけなければいけません。
enmono三木氏 個人の場合で、数千万のお金が集まってしまったら、どうすればよいのでしょう。
山内さん 確定申告していただきます。事業としての収入なのであれば事業の所得、それ以外であれば、性質に従った所得に分類して申告します。
山内さん クラウドファンディングと一口に言っても、プラットフォームの特徴や、プロジェクトの設計は実にさまざまです。また、今度もさらに多様化するのではないかと予想しています。税法上もこれについて今のところ具体的な規定を置いていませんので、個々に実態の整理をして、既存の法律を解釈しながら判断するしかないところかと思います。
enmono三木氏 山内さんは、日本のモノづくり、クリエイティブの世界が、今後どうなっていってほしいと思われますか?
山内さん 「モノを作る人」と「使う人」の対話の中で、文化を創っていくということが本質なのではないかと思っています。一方で、もともと日本のモノづくりが持っていた「こだわり」みたいなものも、失われてほしくないという気持ちがあります。そういうものを残しつつ、国内だけでなく海外に向けても良いモノを発信していけたらいいなと思います。
モノづくりの場合、一緒に良いモノを作るという観点からするとzenmonoのような、作ることに対するコミットメントというのが、やはり重要です。zenmonoは、製品を作る人のストーリーや、その製品を使って生活にどう取り込むのかというイメージが、1つのコンテンツとして表現されていますよね。「製品を作っているんだけれど、文化を生み出している(育んでいこうと思っている)人でもある」と思いながら見ています。その製品があることによって、生活がリデザインされていく。そこの使い方というか生活への取り込み方というのは、文化だと思います。
会計の専門家としては、例えば、税務的なマネジメント、資金繰り、管理会計など、お金にまつわる諸問題は段階が上がるほど複雑化していくので、そういうところもサポートしつつ、バランス感覚、デザイン力が必要になる部分もお話を伺いながら、一緒に考えていけたらいいなと思います。
enmono三木氏 ぜひ、よろしくお願いします。ありがとうございました。
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