糖尿病の末梢神経障害を10秒で検査、オムロンが米製の筋電計を独占販売:医療機器ニュース
オムロン ヘルスケアは、米ニューロメトリックスの「神経伝導検査装置DPNチェック」の販売を開始する。同製品は、糖尿病性末梢(まっしょう)神経障害(DPN)の検査を行うもの。これまでDPNを検査するには、高価な測定装置と専門技術が必要だった。ニューロメトリックスの製品はハンディタイプで持ち運びがしやすい上に、10〜15秒でDPNを検査できるという。
オムロン ヘルスケアは2014年8月18日、神経障害の診断機器、治療用機器の開発を行う米ニューロメトリックス(NeuroMetrix:NM)と、日本国内におけるNMの筋電計の独占販売契約を締結したと発表した。この筋電計は、糖尿病性末梢(まっしょう)神経障害(DPN)のスクリーニング検査を行う「神経伝導検査装置DPNチェック HDN-1000(以下、HDN-1000)」で、同年8月25日から販売を開始する。小売価格は68万8000円(税別)。オムロン ヘルスケアの医療機器販売会社であるオムロン コーリンを通じて販売される。初年度販売台数は350台を目指す。
糖尿病の合併症の1つ
糖尿病の3大合併症は、網膜症・腎症・神経障害だといわれている。神経障害のうち、両手両足の末端の神経から障害が進行する糖尿病性末梢神経障害は、足の潰瘍や壊疽(えそ)につながる場合もあるため早期のチェックが重要になる。
DPNの検査法としては、アキレスけん反射やタッチテストなどの方法があるが、いずれも、簡便ではあるが客観性に欠けることが課題だった。筋電計などを用いた神経伝導検査でより詳細な検査はできるが、これらの検査装置は高価な上に、正確な検査をするためには熟練の技術が必要になる。そのため、神経伝導検査を行える医療施設は限定されていて、糖尿病治療の障壁になっているという。
HDN-1000は、こうした課題を解決できる製品である。高さ190mm×幅116mm×奥行き55mmと小型で、重さは電池を入れていない状態で160g。ハンディタイプなので、扱いやすく持ち運びもしやすい。
HDN-1000は、末梢の感覚神経の1つである腓腹(ひふく)神経に電気刺激を与え、神経に興奮が伝わる速度(神経伝導速度)と大きさ(活動電位振幅)を測定し、DPNの程度を簡便に検査することができる。本体をくるぶしに当てて操作ボタンを押すと、10〜15秒で測定が完了する。使い捨てのバイオセンサーで神経伝導速度と活動電位振幅を測定し、本体に測定値が表示される。
本体とPCをUSBケーブルで接続し、付属の「コミュニケーターソフトウェア」を使えば、より詳細な検査結果を確認できる。検査リポートの出力も可能だ。
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