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みんなで考えれば恐くない! アイデアを生み出すブレインストーミング(その2)レイコ先生の「明日から使える! コミュニケーションスキル」(6)(3/3 ページ)

アイデアを生み出す手法の1つ「ブレインストーミング」。その際に役立つのが、アイデアを紙に書き出していく発想法「635法」と、タネとなるアイデアを参加メンバー全員で育てる635法の発展型「ブレインライティング」だ。

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「オズボーンのチェックリスト」でアイデアをふくらませる

 ブレストでは、アイデアをどんどん出した後に、それらのアイデアに別のアイデアをくっ付けたり、分けたりしていくステップ(便乗できるアイデアがないか考える)があると前回の記事では解説しました。しかし、実際にこの便乗のステップになると、「現実味がないね」、「他社が既にやっているよ」といった感じに目の前に出ているアイデアへの評価が始まってしまうことがあります。このようなときは、ブレストの4つのルールにある「批判しない」ということをメンバーに再度伝える必要がありますが、そうすると場が静まってしまい「便乗するアイデア」が出てこなくなってしまうことがあります。

 そのようなときは、発想の切り口(ヒント)を提供するチェックリストを活用してみましょう。チェックリストには、いろいろなものがありますが最も有名な「オズボーンのチェックリスト」を紹介します。オズボーンのチェックリストとは、ブレストの生みの親であるアレックス・F・オズボーン氏が考えたもので、図3のように全部で9つの項目が用意されています。

図3
図3:オズボーンのチェクリスト9項目

1. 転用(Put to other uses)

「そのままで新しい使い道はないか?」、「改造して他の使い道はないか?」といった切り口で既存のアイデアが、他に使い道がないかを考えてみます。

2. 応用(Adapt)

「他にこれと似たアイデアはないか?」、「何か他のアイデアを示唆していないか」、「過去に似たものはないか?」、「誰か見習えないか?」といった切り口で他からアイデアを借りることができないかを考えてみます。

3. 変更(Modify)

「色、形、動き、音、匂い、意味、デザイン、感触などを変えられないか?」というように既存のアイデアの一部を変えたらどうなるかを考えてみます。

4. 拡大(Magnify)

「何かを加えらないか?」、「より大きく、長く、高く、強く、厚くできないか?」、「時間、頻度、付加価値、材料をもっとプラスできないか?」、「地域を広くできないか?」、「ユーザーを広くできないか?」といった切り口で、既存のアイデアを拡大することを考えてみます。

5. 縮小(Minify)

「何かを減らせないか?」、「より小さく、短く、低く、軽く、薄くできないか?」、「省略できないか?」、「分割できないか?」、「地域を狭くできないか?」、「ユーザーを狭くできないか?」といった切り口で、既存のアイデアを縮小することを考えてみます。

6. 代用(Substitute)

「何か代用できないか?」、「誰か代われないか?」「他の素材は?」、「他の構成要素は?」、「他のアプローチは?」といった切り口で、他のものでは代用できないかを考えてみます。

7. 再配列(Rearrange)

「配置を入れ替えたら?」、「パターンを入れ替えたら?」「順序を入れ替えたら?」、「要素を取り換えたら?」といった切り口で入れ替えてみたらどうなるかを考えてみます。

8. 逆転(Reverse)

「上下をひっくり返したら?」、「左右を逆転したら?」、「弱みを強みできないか?」、「不便を便利にできないか?」といった切り口で逆にしてみたらどうなるかを考えてみます。

9. 結合(Combine)

「合体したら?」、「混ぜてみたら?」、「目的を組み合わせてみたら?」、「真逆のものと組み合わせられないか?」、「セットにできるものはないか?」といった切り口で組み合わせてみたらどうなるかを考えてみます。


 便乗のステップでアイデアへの評価が始まってしまうのは、メンバーが会議など普段の仕事で使っている「問題点を発見する」、「分析する」といった認知フレーム(物の見方の枠組み)を持ったままになっていることにあります。そのような認知フレームを忘れさせ、頭の中をブレストモードに切り替えるために、オズボーンのチェックリストにあるアイデア発想の切り口を活用していきましょう。

レ

どうだった? これらの方法なら上手くいきそうかしら?


カ

はい! ありがとうございます。うちの会社は口ベタな人が多いから635法やブレインライティングは合っているかもしれません。


レ

ブレインライティングは、自分一人でアイデア出しをするときにも使えるから、いろいろな場面で活用できるわよ。


カ

レイコ先生も、どうしたら運命の人とめぐり逢えるか、ブレインライティングしてみたらどうですか?(笑)


レ

あら、ヒドイ!! いつもそうやって意地悪を言うんだから。いつか白馬に乗った王子様が迎えにきてくれるはずよ……。グスングスン。


 今回は、ブレストを実践する上で、直面する壁とその対応方法について解説しました。アイデアは、突然天から降ってくるものでも、一部の天才的な人たちのものでもありません。しっかりとした方法論があれば、誰でも自分が思っていなかったアイデアを創造できるのです。ブレストは、アイデア創造の方法論の中でも長い間世界中で活用されてきた実績があります。ブレストをどんどん活用して、日々の仕事を創造的に変えてみましょう。次回は、社外のコミュニケーションなどに活用できる「交渉術」について解説します。

参考文献

  • 「発想法入門」(星野匡 著、日経文庫)
  • 「アイディア会議」(加藤昌治 著、大和書房)
  • 「ブレインライティング」(高橋誠 著 東洋経済)

Profile

小山新太(こやまあらた)

MPA所属 中小企業診断士。販売促進やマーケティング、コミュニケーションスキルを専門とし、中小企業支援やセミナー講師などを行っている。



MPAについて

「MPA」は総勢70人以上の中小企業診断士の集団です。MPAとは、Mission(使命感を持って)・Passion(情熱的に)・Action(行動する)の頭文字を取ったもので、理念をそのまま名称にしています。「中小零細企業を元気にする!」という強い使命感を持ったメンバーが、中小零細企業とその社長、社員のために情熱を持って接し、しっかりコミュニケーションを取りながら実際に行動しています。

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