目指せ仕切り上手! 会議が変わるファシリテーション(その1):レイコ先生の「明日から使える! コミュニケーションスキル」(3)(1/3 ページ)
今回は会議を上手に仕切るために必要なファシリテーションのスキルについて学ぶ。「そもそも、なんのために集まっているのかはっきりしない」「発言するのは同じ人ばかり」――そんな悩みに応える。
本連載の登場人物
小山田和成(オヤマダカズナリ)
中小ソフトウェアメーカーに勤務するエンジニア。入社8年目の30歳。技術力においては社内から一目置かれる存在で今年から係長に昇格。しかし、奥手な性格でコミュニケーションは苦手。通称「カズ君」。
杉本麗子(スギモト レイコ)
外資系ソフトウェアメーカーにて人事部長を歴任。その後、中小企業診断士を取得して独立。現在は、「ツンデレ」キャラを生かして売れっ子の人事コンサルタントとして活躍中。通称「レイコ先生」。
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
カズ君、久しぶり。カズ君が教育担当の新入社員君、頑張っているみたいだからよかったじゃない。
えー、まあ、レイコ先生に教えてもらったコーチングのおかげで新入社員は元気にやっているのですが……。
なになに、どうしたの? なんか新しい悩みでもあるの?
実は、今度、社内の業務改善プロジェクトのリーダーに任命されてしまいまして……。
すごいじゃない! きっとコーチングで身に付けたコミュニケーションスキルが認められたのね。
ハァー、でも、どうやって進めていけば良いかとても不安です。そもそも、周りを引っ張っていくタイプじゃないですし、会議を仕切るのも苦手ですし、メンバーが全然協力してくれなかったらどうしよう……。
オダマリ!! ナヨナヨしない!! せっかくのチャンスなんだからそんなに弱気じゃダメでしょっ!
ヒィーーーッ!!
じゃあ、今日は「ファシリテーション」について教えてあげるわ。
ファシリテーション? それって何ですか?
ファシリテーションとは、集団による問題解決やアイデアの創造を促進していくことよ。企業では、参加者全員が合意形成をしながら、協働的な会議をしていくことに使えるスキルね。
それ、知りたいです! ぜひ、お願いします!
ファシリテーションとは何か?
ファシリテーションを日本語にすると「容易にする」「促進する」という意味です。具体的には、人々の集団活動が容易に行えるように支援したり、うまくことが運ぶように促すことです。ファシリテーションは、組織や町づくり、NPO、学校教育など幅広い分野で応用されています。組織内においても、効率的な会議運営や組織改革、人材育成など組織の生産性を高めるために活用されています。今回は、この中でも「効率的な会議運営」に焦点を当ててファシリテーションを解説していきます。
「こんな会議ムダだ!」と誰もが一度は思ったことがあるでしょう。「そもそも、なんのために集まっているのかはっきりしない」「発言するのは同じ人ばかり」など多くの企業でも会議に関する悩みは尽きません。このような悩みを解決して、効率的で生産性の高い会議運営を実現するスキルがファシリテーションです。そして、その役割を担うのがファシリテーターです。
会議の水先案内人「ファシリテーター」
ファシリテーターとは、会議の成果を最大化するために会議の「かじ取り」をする人のことです。集団で議論する場面では、「感情の対立」や「意見がかみ合わない」「意見が言いにくい雰囲気」など、集団のパフォーマンスを低下させるさまざまな要因が発生します。ファシリテーターは、これらの要因を取り除き、参加メンバーが協働して会議を作り上げていくことを促します。
会議のかじ取りというと、議長や司会者というイメージがあるかもしれませんが、ファシリテーターが議長や司会者と違うのは「基本的には自分では意思決定をしない」ということです。ファシリテーターには、あくまでも中立的な立場で会議を運営していくことが求められます。
なぜ、ファシリテーターが中立的な立場でなければいけないかというと、生産性の高い議論をするためには、議論の中身だけではなく、議論のプロセスが重要だからです。ファシリテーターは、議論のプロセスを管理するためにプロセスに集中する必要があります。ファシリテーターが他のメンバーと同じように、議論の中身について「あーでもない、こーでもない」と考え始めると、会議全体(船)がどちらに進んでいるのか分からなくなってしまうのです。ファシリテーターには、会議の水先案内人として、議論の中身について中立的な立場を保ち、議論のプロセスに集中していくことが求められるのです。
ファシリテーションの5つのステップ
効率的な会議運営を行うためのファシリテーションは、以下の5つのプロセスに大別できます。
- 場づくり
- 拡散
- 意味付け
- 意思決定
- まとめ
前半の1と2は、参加者から積極的に発言を引き出していく「発散」の段階です。そして3、4、5と議論を収束させる段階へと移行していきます。ファシリテーターは、それぞれの段階を意識しながら効率的に会議が進むよう促していきます。また、各プロセスの必要時間をあらかじめ設定しておき、タイムマネジメントをすることも必要です。
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