タイヤ製造プロセスを可視化、住友ゴムの新シミュレーション技術:製造技術
住友ゴム工業は、タイヤ製造プロセスに用いるシミュレーション技術「Tyre Manufacturing Simulation」を開発した。この技術を使えば、タイヤ製造の各工程で起こる現象を可視化して製品の品質を正確に予測できるという。
住友ゴム工業は2014年7月30日、タイヤ製造プロセスに用いるシミュレーション技術「Tyre Manufacturing Simulation」を開発したと発表した。この技術を使えば、タイヤ製造の各工程で起こる現象を可視化して製品の品質を正確に予測でき、タイヤ品質の向上とともにタイヤ開発時の精度向上による環境負荷低減にも貢献するという。
Tyre Manufacturing Simulationは、タイヤ製造プロセスを構成する、混錬、押出、成形、加硫といった各工程で起こっている現象を可視化する技術だ。
まず、原料ゴムとカーボンなどのフィラー(充填剤)を練り合わせる混練工程では、混練中のゴム温度分布、フィラーに掛かる応力を可視化して、最適な練り方/条件の予測を可能にする。
ゴム部材を一定寸法のシート状に加工する押出工程では、ゴムの押し出し形状の変更によって配合配分を予測することで、生産性の向上や開発時の精度向上が図れるようになる。
部材を貼り合わせてタイヤの原形を作る成形工程では、シート状のゴムや繊維材を貼り合わせてできるタイヤの原型を可視化して、各部材の最適な形状の予測につなげる。
最後に、トレッドパターンなどが施された金型に入れて、熱を加えて製品を仕上げる加硫工程では2つのシミュレーションを行える。1つは、加硫中の変形シミュレーションで、タイヤの原形が金型により最終製品の形状へと変化していく変形プロセスを正確に予測することで、製品の品質を向上するものだ。
もう1つは、加硫中の伝熱シミュレーションで、金型内部に温度が伝わって行く様子を解析することで、原材料の持つ性能を最大限に引き出し、低燃費性能や耐摩耗性能などの向上につなげられる。
住友ゴム工業はこれまで、タイヤ構造のシミュレーション技術「DRS(デジタル・ローリング・シミュレーション)」や新材料開発のシミュレーション技術「4D NANO DESIGN(フォーディ ナノ デザイン)」を開発。構造開発から材料開発まで一貫して、シミュレーション技術を活用したタイヤ開発を行ってきた。今回発表したTyre Manufacturing Simulationにより、さらにシミュレーション技術の適用範囲が広がったことになる。
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