高速走行時も高い均一性を保持、住友ゴムが新工法採用のタイヤを2014年に発売:製造技術
住友ゴム工業は、従来よりもタイヤを高精度に製造できる新工法「NEO-T01」を開発した。同工法で製造したタイヤは、高速走行時における均一性や剛性が向上し、軽量化も可能になる。2014年に発売するランフラットタイヤに採用する。
住友ゴム工業は2012年10月5日、従来よりもタイヤを高精度に製造できる新工法「NEO-T01(ネオ・ティーゼロワン)」を開発したと発表した。同工法で製造したタイヤは、高速走行時における均一性や剛性が向上し、軽量化も可能になる。2014年に発売するランフラットタイヤ(パンクしてもしばらく走行できるタイヤ)に採用する予定。
NEO-T01は、従来工法の「太陽」を上回る高い精度でのタイヤの製造を目指して、2008年から開発が始まった。「メタルコア工法」、「全自動連結コントロール」、「高剛性構造」という3つの技術を組み合わせて実現した。
まず、メタルコア工法では、最終的な仕上がりサイズで作られているタイヤ内側の形状をした金属の成形フォーマー(メタルコア)に、さまざまな部材を貼り付けてタイヤを成形する工法である。従来の工法は、筒状のドラムに各部材を貼り付けていた。メタルコア工法の採用によって、高速走行時のユニフォミティを従来比で70%低減できるという。なお、ユニフォミティとは、走行時のタイヤの振れ方や剛性、重量バランスなどの均一性を示す値で、小さいほど良いとされている。
全自動連結コントロールでは、ストリップ部材の生成・加工から、メタルコアへの貼り付けまで、新たに開発したシステムを使って100分の1mm単位で制御する。貼り付ける部材の重量を最適化できるため、従来工法比で約10%の軽量化が可能になる。
最後の高剛性構造は、メタルコア工法に基づくものだ。同工法によって設計通りのサイズと形状で成形から加硫までの工程を終えられるので、これまで使えなかった強靭(きょうじん)な素材を補強部材に利用できるようになった。このため、高速走行時の形状変化を従来比で50%削減できる。
なお、NEO-T01の「NEO」は「NEXT(次世代)」、「ELABORATE(精密な)」、「ORB(オーブ、球体)」の頭文字の組み合わせを意味している。「T」は、従来工法の太陽やテクノロジー、タイヤを、「01」は次世代工法の初代としての位置づけを表現しているという。
関連記事
- EVの「走行中給電」を実現へ、道路からタイヤを介して給電する基本原理を確認
豊橋技術科学大学の波動工学研究室は、道路の路面下に設置した電極から、タイヤを介して車両内に電力を供給する技術の基本原理を実証したと発表した。実用化されれば、EVに大容量の電池を搭載せずに長距離を走行できるようになる。 - 再生可能資源を100%使用、ブリヂストンの“未来のタイヤ”
ブリヂストンは、開催中の「パリモーターショー2012」に、タイヤの将来を示唆する「100%サステナブルマテリアルコンセプトタイヤ」を参考出品した。2020年を目標に実用化を判断していく。 - バイオマス由来の合成ゴムを味の素とブリヂストンが開発、2013年度に事業化を判断
味の素とブリヂストンがバイオマス由来の合成ゴムを製造する技術を開発した。2013年度中に事業化判断を行う計画である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.