眼内圧の変動をモニタリングするシステム、白内障手術のリスクを低減:医療機器ニュース
日本アルコンは、白内障の手術に使用する灌流(かんりゅう)の圧力を自動的にモニタリングするシステムを開発した。眼内圧の変動による術中のリスクを低減する。
日本アルコンは2014年7月22日に、白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」の発売を開始した。手術中に変動する灌流(かんりゅう)圧を自動的かつ継続的にモニタリングするシステムを搭載し、眼内圧の変動による術中のリスクを低減する。標準価格は2580万円(税抜き)。
白内障手術は、濁って硬くなった水晶体を砕いて吸引し、そこに眼内レンズを挿入する。その工程中、眼内に常に灌流液を注入して眼内圧を保つ。従来の装置では、灌流液を注入するボトルを高い位置につるして上下させ、重力を変えることで手術中の眼内圧をコントロールしていた。ただし、この方法だと術中に瞬時に灌流液の量や灌流圧を変えることはできなかった。CENTURION VISION SYSTEMに搭載されている「Active Fluidics」は、灌流バッグを本体内部の2枚のプレート間に設置し、検知した流体の変化に応じて灌流バッグを加圧、減圧することで、灌流圧を調整する。
水晶体は超音波振動をチップに伝えて、砕く。アルコンは、チップやソフトウェアの設計を改良し、独自の超音波発振機能である「OZil」、トーショナルフェイコ(横方向の超音波発振)の性能を向上することに成功した。これにより、水晶体を砕く効率が上がるとともに、切開創付近の摩擦による温度上昇を抑え、創口熱傷の発生リスクも低減する。
日本アルコンは、ノバルティスグループのアイケア事業部門であるアルコンの日本法人である。米国テキサス州に本拠地を置くアルコンは、世界75カ国で事業を展開し、180カ国の市場に製品を提供している。2013年度におけるアルコンの売上高は約105億米ドル。同社は今後5年間で50億米ドルを研究開発に投資する予定だ。
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