フランスの医療関連企業、注目の10社が集結:全身の3Dスキャンから歯のインプラント技術まで(1/4 ページ)
フランス大使館が主催した「フランスメディカルテクノロジーセミナー」には、新興企業から、世界で高いシェアを持つ製品を提供する企業まで、フランスの医療関連企業10社が集結した。いずれも日本の医療機器市場に強い関心を寄せている。
米国、欧州に次ぐ医療機器市場を持つ日本。その規模は2011年の時点で約2兆円となっている。日本の医療機器市場への関心は強く、これを受けてフランス大使館企業振興部(ユビフランス)は「フランスメディカルテクノロジーセミナー」を開催。新興企業を含む10社が参加し、各社の概要や主要製品を紹介した。
2本のX線で全身を素早くスキャン
EOS Imaging(イオス・イメージング)は、患者の全身をスキャンし、2D画像と3D画像を提供するシステム「EOS」や「sterEOS」を手掛けている。同システムは、1992年にノーベル物理学賞を受賞したGeorges Charpak(ジョルジュ・シャルパク)博士が開発した技術をベースにしたもので、2本のX線を体の後方と側面から当て、全身を素早くスキャンする。2D画像であれば20秒で撮ることが可能だ。さらにその2D画像から、3Dモデルも生成することができる。高速でスキャンするので、従来のX線診断装置に比べて、患者が浴びる放射線量が格段に少ないことが特長だという。
EOS ImagingのMarie Meynadier氏は、「2012年の時点で、EOSは米国のトップ5の病院のうち4つで使用されている。2013年には日本で販売許可を取得し、販売を開始している。今後は日本での拡販を積極的に図っていきたい」と述べた。
実用化はまさにこれから、蛍光イメージング技術
Fluoptics(フリュオプティクス)は、蛍光イメージング装置の開発を手掛けている。同社が目指すのは、外科手術の際に、静脈注射や皮下注射によって注入した蛍光物質でマーキングした、ガン細胞などの正確な位置をリアルタイムで映し出すことだ。
同社のPierre-Alix Dancer氏は、「ガンの摘出手術は、外科医の目に頼っているのが現状だ。蛍光イメージングによって、人間の目では確認できない腫瘍の位置を正確に把握できる。正確で効率的なガン摘出手術が行えるようになる」と説明する。
Dancer氏は、「蛍光イメージングの技術自体は、特に新しいものではない。ただ、手術などで使用するための実用化に向けた動きは、やっと始まったばかりだ」と述べている。
同社は、フランスの技術調査機関であるCEAのスピンオフ企業として、2009年に設立された。従業員は現在19人。同社の製品はCEマークを取得していて、現在FDA(米食品医薬品局)の承認を申請中である。
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