驚くほどの小型化が可能に――ベッコフのリニア搬送システム:TECHNO-FRONTIER 2014
ベッコフオートメーションは、「TECHNO-FRONTIER 2014」(2014年7月23〜25日、東京ビッグサイト)で、EtherCATの強みを生かしたリニア搬送システム「XTS」を出展した。
ベッコフオートメーションは、「TECHNO-FRONTIER 2014(テクノフロンティア 2014)」(2014年7月23〜25日、東京ビッグサイト)で、EtherCATの強みを生かしたリニア搬送システム「XTS(eXtended Transport System)」を出展した。2014年8月1日から同システムの日本展開を開始する。
同社はドイツBeckhoff Automationの日本法人。同社は、PCベースのFA制御ソリューションを展開しており、イーサネット(Ethernet)と互換性のあるオープンなフィールドネットワークである「EtherCAT」を開発。2003年に設立された「EtherCAT Technology Group(略称:ETG)」によって普及を進め、関連商材の展開や技術サポートなどのビジネス展開を行っている(関連記事:いまさら聞けない EtherCAT入門)。
新たに提供するXTSはこのEtherCAT技術を中心とした制御技術と、新発想のリニアモーター構造により、実現したシステムだ。
XTSと同様にリニアモーターを利用した搬送システムは以前から存在していた。従来の構造では、レール部分に磁石を、可動子(動く部分)にコイルを入れて動かすため、可動子に電気を供給する配線が必要になった。そのため自由で高速な可動子の動きを実現するのは難しかった。
しかしXTSでは、レール部にコイル、可動子に磁石を入れる形にし、配線なしでも可動子を動かすことを可能とした。ただ、レール部にコイルを入れるということは、可動子が増えれば増えるだけ、レール部のコイルに流れる電気の制御がより複雑になる。従来はこの複雑な制御を行えなかったために、同様の発想はあっても実現できなかった。これを実現したのがEtherCATだ。EtherCATは、オープンなフィールドネットワークであるだけでなく、リアルタイムで複雑な制御を実現できることが特徴。これらを組み合わせることでXTSを実現した。
では、従来の搬送システムに比べて、XTSはどういう点が優れているのだろうか。ベッコフオートメーション 代表取締役社長の川野俊充氏は「高速で複雑な動作を電子制御できる」「コンパクトで省配線を実現できる」「拡張性がある」の3点を特徴として挙げる。「個々の可動子に対し複雑な動作を高速で行わせることができる他、配線が不要であるため、メカ面での“からくり”が必要なくなる。そのため大幅な小型化や省スペース化が実現できる」と川野氏は語る。
可動子は最高で4m/秒のスピードで動かすことが可能であるという。日本では同年8月からの本格展開となるが「既に飲料の充塡(じゅうてん)システムや包装関連、電気機械の生産ラインなどで引き合いが生まれてきている」と川野氏は話している。
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