植物工場の生産管理システムを強化――富士通と小林クリエイト:製造マネジメントニュース
富士通は、同社が展開する農業クラウドサービス「Akisai」の生産管理サービスに、小林クリエイトの植物工場・施設園芸向け生産管理ソリューション「agis生育管理システム」を加えて発売することを発表した。
富士通は2014年7月22日、同社が展開する農業用クラウドサービス「Akisai(秋彩)」の生産管理サービスに、小林クリエイトの植物工場・施設園芸向け生産管理ソリューション「agis(エイジス)生育管理システム」を加え、「FUJITSU Intelligent Society Solution 食・農クラウド Akisai 生育管理システム agis」として2014年8月に発売することを発表した。
植物工場や施設園芸栽培は、自然環境の影響も受けにくいことから周年での計画的・安定的な生産が可能になる一方、ロット単位での管理や、生育途中で栽培場所を移動する必要があるなど、作業履歴の収集・管理に手間が掛かっていた(関連記事:野菜の工場生産本格稼働へ――成否のカギは出口戦略と製造マネジメント)。
新サービスはこれらの負担軽減を実現するもの。植物工場事業に参入し、野菜の生産と販売を行う小林クリエイトのノウハウを生かし、富士通の農業クラウドサービスと組み合わせて提供する。
新サービスは、ハンディターミナルを活用し、栽培現場での作業履歴収集とデータ管理を容易にするサービスで、多品種少量生産や、栽培植物をロットごとに管理する植物工場・施設園芸での生育管理に適しているという。
作業者はハンディターミナルを管理単位のロットに挿入しているRFIDや2次元コード付きタグにかざし、個体を識別しながらハンディターミナル上で作業実績を入力することが可能となる。これにより、生育途中で栽培場所が変わる植物工場においても播種から収穫まで一貫した作業履歴の管理が行えるようになる。
また、ハンディターミナルで入力した情報はオフィスのPCに蓄積され、管理ロット単位での作業進捗や生育状態を視覚的に確認できる。これにより、作業の遅れや対応状況などのロットごとの集計や分析、生産管理の効率化につなげられる。さらに、実績データを農業生産者間で共有することで、栽培技術の習得や作業品質の向上が実現可能となる。
富士通では、低カリウムレタスを生産している「会津若松Akisaiやさい工場」(福島県会津若松市)に2014年10月に同サービスを導入ししゃない実践を進める予定だとしている(関連記事:レタスを作る半導体工場!? 植物工場は製造業を救う切り札になるのか)
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