ローエンドの国産「3Dプリンタ」が登場! ハイエンドは最終製品への活用広がる:DMS2014リポート【3Dプリンタ編】(4/4 ページ)
「第25回 設計・製造ソリューション展(DMS2014)」では、産業向けのハイエンド機から個人をターゲットとしたローエンド機まで多彩な3Dプリンタが出展された。本稿では、3Dプリンタの新製品や強化機能を紹介するとともに、会場で見られた3Dプリンタの出力品、活用例を紹介する。
医療分野では着々と活用が広がる
医療分野においても3Dプリンタの活用は進みつつある。その1つが臓器の出力だ。教育目的では透明の樹脂の中に、カラーの臓器を埋め込んだモデルが作成されている。八十島プロシードによる頭の内部の可視化モデルがそれだ。人の頭の外側を透明にして、中の脳や血管に色を付けてある。これは、Objet500 Connex3のカラーおよび複数の材料の出力機能によって実現されている。
また、光造形によって原型を作り、シリコンを流し込んで心臓や胃のような臓器を作る例も見られた。データは実際の患者のCTやMRIのデータを使用する。手術のトレーニングなどに使われるため、実物に近い柔らかさや質感、精巧さも必要となる。高度な造形技術とともにスピードも求められる分野だ。
今までは、2Dの断面画像しか見られなかったため、手術を担当する医師が奥行き感などをリアルにイメージすることが難しかった。3Dモデルによって、実際の手術時の様子がより具体的にイメージできるため、手術の成功率の向上にも貢献しているという。
また、医療器具も3Dプリンタの活躍が広がりつつある分野だ。1人1人に合わせた造形が必要であり、少量多品種生産であることが多いからだ。3D Systemsによると、歩行補助具や義足カバー、リハビリ関連などに実使用されているという。
DMS2014を通じ、これまで以上に3Dプリンタの活用の幅とその可能性について知ることができた。
3Dプリンタは、デザインや動作を確認する試作品段階での利用にとどまらず、原型や金型の代替など、多彩な使われ方をしている。また、最終製品への活用については、既存製品のカスタマイズパーツや医療分野での少量多品種もの、従来の手法では難しかった複雑で特殊な造形など、3Dプリンタならではの造形力を生かした活用がますます広がっていきそうだ。
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