“現代の方舟”救命艇からMg燃料電池まで――中部ライフガードTEC2014:防災・減災・危機管理展(2/2 ページ)
東日本大震災から3年、地域社会における防災力の向上と防災・減災に向けた取り組みが急務となっている。南海トラフ巨大地震が懸念される中部地区で、防災・減災をテーマにした展示会が開催。注目の展示をピックアップして紹介する。
塩水で発電、10年使えるMg燃料電池――ハモコ・ジャパン
生活に欠かせない「電源」の確保は災害時の大きな課題の1つ。愛知県豊橋市に本社を構えるハモコ・ジャパンは、発電に必要なのは水と塩だけという「Mg(マグネシウム)燃料電池」を紹介していた。
「乾電池は自然放電するので経年時に使えない可能性がある。ガソリン発電機も定期的なメンテナンスが必要な他、ガソリン自体がすぐに劣化する。非常時のガソリン確保の難しさは東日本大震災の時に証明された。Mg燃料電池は塩水だけで発電し、塩水を注入しなければ初期状態を保てるので自然放電もない」(同社担当者)。
塩水を入れない状態(発電してない状態)で保管できる保証期間は10年と非常に長いのが特徴。発電に必要な量の塩水(500ml)がセットに付属する他、真水に塩を入れて作成した塩水や、海水を直接入れても発電できるという。1セルタイプのMg燃料電池セットでは、付属するLEDランタンを100時間点灯させることが可能。Mg燃料電池1セルの出力電圧は無負荷時1.5V、定格電流2A時に1.1Vを発生し、セルを並列につなげることでスマートフォンや携帯電話の充電や、ノートPCを駆動させることもできるという。ブースでは30セル(15セル×2)を使ってノートPCを動かすデモや、10セルにDC-DCコンバータを介してUSB電源を作り出してスマートフォンやタブレットを充電するデモを行っていた。
転がっているプロパンガスボンベを有効利用――エア・ウォーターの移動電源車
LP(プロパン)ガス仕様の移動電源車を展示していたのはエア・ウォーターだ。東日本大震災の時、ライフラインが全て止まってしまい、燃料や電源の確保が難しい中で「分散型エネルギー」として注目されたのがLPガス。可搬性に優れ、災害にも強いというLPガスの有効利用をテーマに移動電源車を開発したという。発電能力が9.8kWの軽自動車タイプから100kWのコンテナタイプまで目的や用途に応じてカスタムメイドが可能だ。
「東日本大震災の時にはプロパンガスボンベがあちらこちらにゴロゴロ転がっていたという。LPガス仕様の移動電源車なら、こうしたボンベを有効活用することも可能。軽自動車タイプなら800万円と導入もしやすい。自治体や医療関係の施設などから問い合わせが多い」(同社担当者)。
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