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“現代の方舟”救命艇からMg燃料電池まで――中部ライフガードTEC2014防災・減災・危機管理展(1/2 ページ)

東日本大震災から3年、地域社会における防災力の向上と防災・減災に向けた取り組みが急務となっている。南海トラフ巨大地震が懸念される中部地区で、防災・減災をテーマにした展示会が開催。注目の展示をピックアップして紹介する。

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 防災・減災をテーマにした展示会「中部ライフガードTEC2014 防災・減災・危機管理展」が名古屋のポートメッセなごやを会場に2014年5月22、23日の両日で開催された。2013年12月に「国土強靭化基本法」が成立するなど、地域社会における防災力の向上と防災・減災に向けた取り組みが急務となっている。特に南海トラフを震源にした巨大地震の発生が懸念されている中部地区は防災・減災への関心が高く、昨年中部地区で初めて「防災・減災をテーマにした展示会」として開催された同展示会にも注目が集まっている。

 第2回となる今回は、さまざまな災害リスクに対する最新の製品・技術・サービスなどが一堂に会した。本稿ではその中から注目の展示をピックアップしてお届けする。

有限要素解析(FEA)で安全性確保――信貴造船所の救命艇

 3年前の東日本大震災では、地震後の津波で多くの人命が失われた。津波が襲ってきた時は高台に避難するのが基本だが、津波被害の危険性がある沿岸部では高台まで避難する時間がないケースも多い。このようなリスクのある沿岸部に立地する企業や幼稚園・保育園、高齢者施設向けに信貴造船所が紹介していたのが津波・水害対応型救命艇「ライフシーダー(LIFE SEEDER)」だ。

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津波・水害対応型救命艇「ライフシーダー(LIFE SEEDER)」

 国内唯一の救命艇専業メーカーである同社が津波救命艇として新規に開発したライフシーダーは、2014年2月に国土交通省 四国運輸局「津波救命艇ガイドライン」を承認取得している。有限要素解析(FEA)によって救命艇に合った形状の緩衝材や取り付けアングルを開発しており、津波到達時の衝撃に対しての安全性がより高まっているという。

photophoto 有限要素解析(FEA)によって救命艇に合った形状の緩衝材を開発(左)。艇内は立って歩くこともできる広々とした設計(右)

「救命艇が倒れない台座作り」に独自ノウハウ――IHI津波救命艇

 前述のライフシーダーと同じく国土交通省 四国運輸局「津波救命艇ガイドライン」を承認取得しているのが、IHIの津波救命艇だ。「ガイドラインが策定されたのが2013年7月で翌月の8月には承認されている。われわれの津波救命艇が承認第1号」(同社担当者)。今回の展示会では実物ではなく模型での展示を行っていた。

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津波救命艇ガイドラインを承認取得しているIHI津波救命艇(写真は模型)

 津波救命艇ガイドラインはあくまでも安全指針(ガイドライン)を定めた任意の認証であり、法的な強制力はない。「ただ、ガイドラインの承認を受けると国土交通省が登録した艇番号が付与される。漂流時に無線通信装置から艇番号の情報を含んだ救難信号が出るため、救命艇の情報が瞬時に共有され救助の効率化が図れる」(同社担当者)。

 救命艇自体の安全性は国土交通省のお墨付きだが、ガイドラインでは特に定められていない部分で同社がこだわっているところが“救命艇を固定する台座”だ。阪神大震災の2倍の重力加速度に耐え、風速55メートルの風を受けても倒れないという。橋梁や水門など社会インフラ建築を手掛けるIHIグループのノウハウが「救命艇が倒れない台座作り」に生かされているのだ。

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