日立建機がホイールローダーをハイブリッド化、燃料消費量を26%削減:エコカー技術
日立建機は、ハイブリッドシステムを搭載したホイールローダー「ZW220HYB-5B」を開発した。ディーゼルエンジンで発電した電力で走行用モーターを動かすタイプのハイブリッドシステムを搭載している。2015年春に市場投入する予定。
日立建機は2014年6月24日、ハイブリッドシステムを搭載したホイールローダー「ZW220HYB-5B」(標準バケット容量:3.4m3、運転質量:18.2トン)を開発したと発表した。ディーゼルエンジンで発電した電力で走行用モーターを動かすタイプのハイブリッドシステムを搭載している。2015年春に市場投入する予定。
ZW220HYB-5Bのハイブリッドシステムは、日立グループの協力を得て開発した。ベース車両の「ZW220-5B」のように、内燃機関につなげたトルクコンバータやトランスミッションが存在しないので、動力伝達のエネルギー損失を大幅に低減できているという。また、減速エネルギー回生システムにより、減速時のブレーキエネルギーを変換して蓄電システムに充電した電力を、走行モーターを駆動するのに用いることも可能である。さらに、油圧システムの高効率化も図っている。これらによって、ZW220-5B(トルクコンバータ仕様)と比べて、積み込み作業時の燃料消費量とCO2排出量を26%削減できたとしている(同社の測定法による比較値)。
ハイブリッド化は、操作性の大幅な向上にもつながっている。まず、トルクコンバータやトランスミッションがない無段変速の車両なので、走行時の変速操作が不要になった。掘削作業や坂道走行などの際に変速を行わなくて済むので、操作時に作業員に掛かる負荷の低減につなげられる。
また従来のホイールローダーの場合、走行駆動力と作業機速度はアクセルペダル操作だけでしか制御できなかった。一方、ZW220HYB-5Bは、走行駆動力はアクセルペダル操作で、作業機速度は作業機操作レバーの操作でと、それぞれ独立して制御できる。このため複合的な操作を、従来の油圧だけの機械と比べてスムースに行える。例えば、狭い現場での積み込み作業であれば、作業機のアームを最高速度で上昇させたいが走行速度は遅くしたいという場面で、最小限のブレーキ操作で効率の良い作業が可能になる。
ZW220HYB-5Bのハイブリッドシステムは、小型エンジンを低回転数で動作させながら発電を行う。このため、内燃機関を搭載するZW220-5Bと比べて、周囲騒音とキャブ(運転席)騒音も大幅に低減できるという。
なお、ZW220HYB-5Bは、2014年7月10〜14日まで北海道帯広市で開催される「第33回国際農業機械展in帯広」に出展される予定だ。
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