充電インフラの整備には「BMW i8」みたいなカッコいい電気自動車が必要!:今井優杏のエコカー☆進化論(11)(3/4 ページ)
米国の西海岸で開催されたBMWのプラグインハイブリッド車「i8」の国際試乗会に参加した筆者。i8のスポーツカーとしてのデザイン性や性能以外に実感したこととは?
驚かされたのは「i8」だけじゃなかった……
しかし、サンタモニカ滞在中に驚いたのはi8そのものだけではありませんでした。
試乗を終え、ランチに指定されたマリブビーチ沿いのセレブなレストランで見つけたのは、駐車場にズラっと並ぶ充電用の電源たち!!
聞けばこの充電インフラは今回のBMWの試乗会用に作られたものではなく、もともと設置されているものだそう。i8には急速充電システムは搭載されていないので、200V電源による通常充電はここで行えるというわけ。こんな風にLAセレブがフラっとランチに立ち寄りつつ気軽に充電できるインフラが豊富にあることに、2013年の1年間で9万6000台もの電気自動車がカリフォルニア州で販売されたという事実の裏付けを見た気がしました。
それはアメリカの電気代が安いということに起因するのではもちろんなく(西海岸の電気代は日本の2分の1〜5分の1程度ではあるんですが)、ここほんの数年、シリコンバレー発のベンチャー系自動車メーカーTesla Motors(テスラ)などの躍進により、アメリカでは先進技術=オシャレという図式が完全にでき上がっている様子。
つまり「最新のエコカーに乗って食事に来ながら、そのクルマに充電しているコト」=イケてるお店には充電スタンドがあること、は最先端な人々の集まるロサンゼルスにおいてのトレンドになり得ているというわけです。
ハリウッドセレブが最近どんどんテスラ「モデルS」を購入しているのはニュースで聞き及ぶところでしたが、ロサンゼルス国際空港を降り、サンタモニカに向かうさなかでもそれを実感しました。
実は昨年(2013年)もほぼ同様のルートで空港を挟んで逆側のニューポートビーチに行ったのですが、その時よりも明らかに多いのです……テスラが!
大人気のモデルSが発売から1年を超え、デリバリーが十分に行き渡ったタイミングも重なったと思いますが、それにしても爆発的な普及力を実感しました。
アメリカの企業別CO2排出規制「CAFE」は厳しい規制を設けていますし、日本のポスト新長期規制や欧州の「Euro6」も例外ではありません。クリアしないとクルマを販売できない状況になるとあって、世界中の自動車メーカーが雨後のタケノコのように2012年当たりから急激に車両の電動化を進めてています。
しかし、もはや単に「燃費(電費含む)がいいですよ〜」というだけでは売れないんじゃないかな〜と思っていたところのモデルS人気と今回のi8の存在感。
かのロデオドライブで撮影した時なんて、i8見物のために、人だかりができちゃったんですよ!何という求心力。
やっぱりクルマはカッコよくなきゃいけないんです。カッコよかったら売れるの。売れたら充電ポートだってオシャレのためにショップ側が用意するし、お客さんも積極的に利用するっていうのは、マリブビーチでも見てきた通り。こういうのを目の当たりにすると、もしかしたら躍起になって国がエコを推進しなくたってイイのかも……なんて思っちゃいました。楽観的過ぎると怒られちゃうかな。でも、インフラの普及をどうするか、これは日本においても由々しき問題ですが、こういうシンプルな考え方をすれば面倒くさくないのにな、なんて思ってしまいました。
だって私もすてきなシチュエーションでランチしながら充電できるようなライフスタイル、とってもいいなと思うもの。メーカーおよびインフラ関連会社の皆さんは、カッコいい充電ポートをデザインして、軒並み鎌倉〜七里ヶ浜辺りのオシャレカフェに提供するってうのはいかがでしょうか。イメージ戦略ですね。
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