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走馬灯プレゼンはダメ! 技術者向けプレゼン“設計”とは甚さんの「コミュニケプレゼン」大特訓(9)(1/3 ページ)

「盛りだくさんのパワポをものすごい勢いでめくる」「1枚に文字がギッシリ書かれ、要点が絞れていない」……そんなプレゼンを返上する、プレゼン“設計”の基本を伝授する。

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当連載の登場人物

甚

根川 甚八(ねがわ じんぱち)

根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん

良

国木田良太(くにきだ りょうた)

ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。甚さんいわく「イマドキな若者」。機構設計者。通称、良君


エリ

沢田恵梨香(さわだ えりか)

ADO製作所 PC事業部 設計2課に勤務する派遣社員。良君のい〜加減な設計を製図でしっかりフォローする優秀な設計アシスタント。製図専門学校卒。通称、エリカちゃん


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。


甚

前回でよぉ、取りあえず、表1の6個のスキル、これに関する解説は全部終わったぜぃ。オメェら、これでいいんだろ、できんな、あん?



表1 コミュニケプレゼンスキルアップの各種道具(出典:「ついてきなぁ! 設計心得の見える化『養成ギブス』」日刊工業新聞社刊)
エリ

第2回でも言いましたが、私は「ラポール」と「3秒ルール」がお気に入りです。特に「3秒ルール」は転職の面接に役立ちますね。「ラポール」は、「相手の気持ちを伺うこと」。プライベートでも役立ちそうですね!


良良

僕もやっぱり、「6W2H」と「PDPC」かな。「6W2H」は設計の基本ツールだし、「PDPC」は合コンに役立つし……。ウッシシィ……。


エリ

合コンでの成果はまだ出てないみたいですが? そうだ「6W2H」といえば、第4回の「ハンパなキッチンマット」の件はキッチンをよく使う女性目線の評価の話でしたけど、個人的には爽快でしたね。


甚

「6W2H」が、設計の基本中の基本ってぇことも、分かってくれたかぁ。そいつぁ、うれしいってもんよ。そんじゃ、今回は新しいテーマにへいるぞ。もちろん、技術者向けのコミュニケプレゼンだぁ。


 技術者向けコミュニケプレゼンの6つのスキルを理解したその次は、「コミュニケプレゼン」の「形式編」に入っていきましょう。

 筆者が若かりし頃、部長や役員が壇上で世の中の情勢を踏まえて、自社の現状や今後の方針を述べているのを聞いていて、情けなくなったものです。一体何を言いたいのか分からないし、どこからパクッてきた内容なのか……。声がうわずっている人も多くいました。

 特に気になったのが、用意したプレゼン資料の枚数が異常なほど多かったことです。まるで走馬灯のようにめくる場合や、1枚のパワーポイントの中に文字がギッシリ書かれ、要点が絞れていないケースを何度も目の当たりにしました。

エリ怒

ああ、前回登場した“ブレザー部長”もそうです。4月の開発方針説明で、盛りだくさんのパワポを、まさに走馬灯のようにばばばっとめくって、自分に酔ったプレゼンをするんですよね。


良真

うーん、プレゼンの雰囲気もキザで鼻に付くんだよね……。


甚怒

ブレザー部長は、プレゼンの基本を学ばなかったんだなぁ。若いうちに基本を学べ! 技術者には、技術者向けのコミュニケプレゼンが必要なんだぜぃ!


良君の技術成果発表

良

来月に、わが社の「技術成果発表会」が市民ホールを借り切って開催されるんです。部ごとに代表者を出してプレゼンするんですけど、1人当たりの持ち時間は20分です。審査員がいて、優勝すれば、優勝金はなんと30万円! 僕も登壇するんですが……、ホラ、僕って富士山麓大学大学院の主席卒でしょ? プレゼンテーションは得意中の得意。簡単に優勝できちゃうかもなぁ……フフフフフフフフ。


エリ怒

うわっ……。


甚怒

そりゃ、甘ぇな、そのプレゼンだってどうせ自己流だろがぁ、あん? その行く末がよぉ、さっきの部長や役員だぁ。


良怒

自己流ではありませんよ〜。僕には、「甚さんの技術者向けコミュニケプレゼン」という最強の武器があるじゃないですか〜。まさに「鬼に金棒」とはこのこと!


エリ

ハイハイ……。


甚

あぁ、分かった分かった。たまには期待してやるぜぃ! そんなオメェが登壇する成果発表会を例にして、今回は解説しようじゃねぇかい。よぉ〜く耳をかっぽじって聞きやがれってんだぁ!


 多くの企業で、年に1、2回「技術成果発表大会」が実施されています。技術者のモチベーション向上のために、自身の業務成果を壇上で発表するイベントです。

 社内審査員が発表者を採点し、優勝者や準優勝者には金一封が出ます。非常に有効なイベントであり、当事務所では、クライアント企業に年1回の技術成果発表大会の開催を勧めています。

ADO製作所(良君たちの会社)における技術成果発表大会の要綱

  1. 発表者一人の発表時間は20分以内
  2. 発表後は質疑応答の時間とする。10分以内
  3. 壇上の演台には、ノートPCとレーザーポインタがある。
  4. 発表開始後15分で、進行役がベルを1回鳴らす。
  5. 発表開始後18分で、進行役がベルを2回鳴らす。
  6. 発表開始後20分で、進行役がベルを3回鳴らし、強制終了とする。
  7. パワーポイントには、シリアル番号をページの右上に入れる。


甚

プレゼン資料作成には、パワーポイント(パワポ)を使うだろ? 技術者は「パワポを“設計”する」んだ。この設計も、「技術者向けコミュニケプレゼンスキル」だ!


編集部注:以降の甚さんたちのせりふ内で、プレゼン用資料のことを「パワポ」と表現することがあります。
エリ

パワポを「作成」……ではなく、「設計」するんですね。なんか、すごく分かりやすいです。


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