走馬灯プレゼンはダメ! 技術者向けプレゼン“設計”とは:甚さんの「コミュニケプレゼン」大特訓(9)(2/3 ページ)
「盛りだくさんのパワポをものすごい勢いでめくる」「1枚に文字がギッシリ書かれ、要点が絞れていない」……そんなプレゼンを返上する、プレゼン“設計”の基本を伝授する。
そんじゃ、走馬灯と言われないための「枚数」の設計からへいるぜぃ! 図1を見ろ!
良君は「技術成果」を報告するので、図中の「報告型」を選択します。「技術成果発表大会の要綱」より、発表者の持ち時間は20分とのことなので、表紙を除くパワーポイントの枚数は「10枚」となります。
ええ! 10枚でいいんですか? あのブレザー部長ときたら、20分間で、何と50枚ものパワポをめくっていましたが。
それがよぉ「自己流」「我流」ってやつだぜぃ。営業系や管理職系のコミュニケーションセミナーの弊害かもな。例えば、なるべく短い時間で全ての商品を紹介しようとすると、よくそうなる。
こんなデータがあったんですね。まさしく、技術者向け。知らなかったなぁ……、ちょっとショックですよ。
さあさあ、表紙を除く枚数が10枚と決まったら、次は構成だ。機械設計で言えば、フレームや筐体(きょうたい)の設計だな。そんじゃ、表2を見ろ!
20分の報告型プレゼンでは、パワーポイントの枚数は目標10枚です。ここまでは簡単に決定できましたね。さらに、技術系のプレゼン資料や論文には「お決まりの型」もしくは「お勧めの型」というものがあります。それが、表2に示した「技術系プレゼンと技術論文における定型構成」です。
さっきも言ったけどよぉ、ここでは「組み立てる」の代わりに、オメェら向けに「設計する」とあえて表現するぜぃ!
じ……、甚さん、本当のことを言うと……、成果発表会で何を発表すればいいか、すごく迷っていたんです。それに、20分じゃ短すぎですよ……。
……さっきの自信は何だったのかしら。
良君、実はみんなそうなんだぜぃ、安心しろ! 今から解決すんからよぉ。さっきの表2のグレー色部分を見てみろ。
「一体、何を書けば良いのか?」「何を発表すれば良いのか」と悩んだとき、表2のいずれかの論法を選んで、当てはめて、文章や図表を準備していけばよいのです。
例えば「8段論法(QCストーリー)」(表2 グレーの部分)は、以下の構成になります。
- テーマ選定の理由
- 現状把握
- 改善目標の設定
- 要因分析
- 対策の立案
- 対策の実施
- 効果の確認
- 歯止め
まず「あなたが何を主張したいのか」、得意なテーマを選定します。次の「現状把握」とは、現状分析のことで聴衆に現状の不具合を訴えることです。「改善目標の設定」〜「効果の確認」までは、単語そのままの意味です。ただし最後の「歯止め」は聞きなれない単語だと思います。「歯止め」とは、再発防止策や、さらなる発展や展望を示すことです。
うーむ、知らなかったことばかりで、またまたショック倍増! プレゼンはすごく理論的に作成していくものなんですね。
「理論的」? その言葉、止めてくんねぇかい! これは理論じゃねぇ! あくまでも、パワポの「設計」だ。設計は理論じゃねぇんだ。設計とは、「使用目的の明確化」と「設計思想とその優先順位」の設定だ。そして……
その2つを裏付けるのが「理論」や「シミュレーション」ですね! 「理論」や「シミュレーション」は脇役よ、設計の主役じゃありません!
表2で挙げた4つの論法のうち、「20分、10枚」のプレゼンにふさわしい論法はどれでしょうか。今回、「壇上でのプレゼン」とのことだったので、まず「3段論法」と「2段論法」は候補から消します。3段論法と2段論法による壇上プレゼンは、筆者は見たことがありません。この2つは、技術論文ではよく見ます。2段論法は、特にSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の投稿でも多用されます。
残るのは、「8段論法」と「4段論法」ですが、以降は筆者の好みであり、当事務所のクライアント企業の実績から、「4段論法」を選択してみます。
そして、表2を再構成、もとい再設計したのが以下の表3です。
表3の「4段論法の編集例」を参考にすると、パワーポイント10枚の内訳は、以下になります。
- 改善の目的:1枚
- 技術課題:2枚
- 対策:4枚
- 効果:2枚
- 今後の展開:1枚
技術者が作る資料なら、図表の挿入は必須です。これが「技術者向けのコミュニケプレゼンスキル」のポイントです。10枚の構成を決めたら、ふさわしい図表を挿入します。
図表は以下の4枚は必要でしょう。
- 技術課題:1枚
- 対策:2枚
- 効果:1枚
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