デンソーが「世界初」の技術で二輪車用FIシステムを低コスト化、ホンダに納入:エコカー技術
デンソーは、小型二輪車用の電子燃料噴射(FI)システム「DIET-FI」を新たに開発した。スロットルポジションセンサーやエンジン温度センサーなどの構成部品を削減できる「世界初」(同社)の技術を採用しつつ、従来のFIシステムと同等の燃費や環境性能を確保する制御技術も適用し、低コスト化を実現。既にホンダに納入しているという。
デンソーは2014年5月29日、小型二輪車用の電子燃料噴射(FI)システム「DIET-FI」を新たに開発したと発表した。スロットルポジションセンサーやエンジン温度センサーなどの構成部品を削減できる「世界初」(同社)の技術を採用しつつ、従来のFIシステムと同等の燃費や環境性能を確保する制御技術も適用し、低コスト化を実現した。既にホンダに納入しているという。
今回開発したDIET-FIは、空気吸入量を調整するスロットルバルブの開度を検出するスロットルポジションセンサーや吸入空気温度に応じた燃料噴射量の増減を行うために吸入空気温度を検出する吸気温センサー、エンジン内の温度を検出するエンジン温度センサー、ISC(アイドル・スピード・コントロール)用のステップモーター、転倒センサーという5つの部品を削減。削減したセンサーの機能は、ECU(電子制御ユニット)に内蔵したサーミスタによる温度推定制御や吸気管圧力センサーで加速・減速を判定する燃料調量制御といった新たに開発した制御技術で補完している。つまり、従来のFIシステムと同じ性能を確保しながら“DIET(ダイエット)”を実現したというわけだ。
なおDIET-FIは、デンソーの中国グループ会社で二輪車用部品を生産する鞏誠電装(重慶)有限公司が生産しており、ホンダの中国における二輪車生産・販売合弁会社である五羊−本田摩托(広州)有限公司に納入している。
二輪車用FIシステムは、高精度な空燃比(空気と燃料の比率)の制御を目的に、各種センサーとアクチュエータ、ECUなどから構成される。その機能は、各種センサーから検出される空気量やエンジンの状態などを基にして最適な燃料噴射量を算出し、フューエルポンプから送られる燃料をインジェクターによって高精度にエンジンへ供給することで実現されている。これまで大型二輪車を中心に導入が進んでいたが、近年では小型二輪車でも需要が高まっている。特に、世界最大の二輪車市場である中国をはじめ、二輪車の需要をけん引する新興国市場でも導入が望まれているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ホンダの新型二輪車「NM4」は「近未来」と「COOL」が開発テーマ、東京でも公開
ホンダは、「第30回大阪モーターサイクルショー」において、二輪車の新コンセプトモデル「NM4」を発表した。「近未来」と「COOL」を開発テーマに設定し、従来の二輪車とは一線を画した新感覚かつ独自のスタイリングを追求したという。2014年3月28日に開幕する「第41回東京モーターサイクルショー」にも出展する予定だ。 - デンソーがスパークプラグを改良、混合気を誘導する板で安定燃焼を実現
デンソーは、「人とくるまのテクノロジー展2014」において、開発中の「気流誘導高着火スパークプラグ」を展示した。EGRシステムなどの導入でエンジン気筒内の混合気の流速が高速化しても、安定した燃焼が行えるような工夫を加えた。 - ディーゼル排ガスのPMを50%削減、デンソーの「世界最高圧」コモンレール
デンソーは、ディーゼルエンジンの燃料噴射システムであるコモンレールシステムについて、「世界最高」(同社)となる最大2500気圧(250MPa)の燃料噴射圧力を実現したと発表した。従来システムと比べて、車両の燃費を3%向上するとともに、排気ガス中に含まれる有害物質であるPM(粒子状物質)を50%、窒素酸化物を8%削減できる。