“カプセル型”の小型心臓ペースメーカー、米医療団体が体内埋め込み:大きさは従来の1/10で低侵襲 医療技術
米ミネソタ州のMinneapolis Heart Institute Foundationが、サイズが従来の約1/10程の心臓ペースメーカーの埋め込みを初めて行ったと発表した。太ももの静脈からカテーテルを使って心臓に埋め込むので、胸部を開く手術が不要になる。ペースメーカーを埋め込む際の侵襲部分を最小限にできるのではないかという期待が寄せられている。
米ミネソタ州のMinneapolis Heart Institute Foundation(MHIF)*)は2014年5月1日、「世界最小」(同団体)とする心臓ペースメーカー「Medtronic Micra Transcatheter Pacing System(TPS)」の最初の体内埋め込みを行ったと発表した。ペースメーカーの大きさは、従来のものに比べて約1/10だという。同州の病院Abbott Northwestern HospitalのCharles Gornick医師により、患者の体内に埋め込まれた。
*)Minneapolis Heart Institute Foundation(MHIF):慢性病患者の日常生活を向上すべく、研究開発や教育、関連サービスを行う非営利団体。
Medtronic Micra TPSは、太ももの静脈に挿入したカテーテルを使って、心臓の内部に直接埋め込む。心臓壁に取り付け、必要に応じて取り付ける場所を変えたり、回収したりすることも可能だ。Medtronic Micra TPSは、ペースメーカー本体と心臓をつなぐ「リード」と呼ばれる電線が不要になる。リードは心臓の電気信号を感知する他、ペースメーカーからの電気刺激を心臓に送る役割を担っているが、Medtronic Micra TPSは、小さな突起部分がリードの代わりになる。
通常、ペースメーカーを埋め込むためには、鎖骨付近の皮膚の下にペースメーカーを収める「ポケット」と呼ばれる空間を作る。Medtronic Micra TPSは、心臓に直接埋め込むので、ポケットを作る必要がない。これにより、複雑な手術や処置を減らすことができる。
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