次世代車載イーサネットはPOFによる光接続が最適、矢崎総業が提案:人とくるまのテクノロジー展2014
矢崎総業は、「人とくるまのテクノロジー展2014」において、接続ケーブルにプラスチック光ファイバー(POF)を用いる場合でも1Gbpsの伝送速度を実現できる車載用光通信コネクタを披露した。
矢崎総業は、「人とくるまのテクノロジー展2014」(2014年5月21〜23日、パシフィコ横浜)において、接続ケーブルにプラスチック光ファイバー(POF)を用いる場合でも1Gbpsの伝送速度を実現できる車載用光通信コネクタを披露した。
POFを接続ケーブルに用いる場合、伝送速度は250Mbps程度が上限になるといわれている。音楽/映像データを伝送する車載LAN規格であるMOST(Media Oriented Systems Transport)はPOFを用いるが、伝送速度が150MbpsのMOST150までしか規格化されていない。より高速の次世代MOSTでは、POFをグラスファイバー(GOF)に置き換えることが検討されている。
今回矢崎総業が展示した車載用光通信コネクタは、スペインのKDPOFが開発した光多値化の技術と、Avago TechnologiesのLEDと光変換デバイスを用いることにより、従来のPOFの上限を超える1Gbpsという伝送速度を実現した。展示では、カメラで撮影した1280×800画素の映像を遅延なく伝送し、液晶ディスプレイに表示するデモンストレーションを行っていた。POFの曲げ半径(R)も10mmまで対応可能だ。
矢崎総業は、「採用が間近とされる車載イーサネットは、ツイストペアケーブルによる電気接続で100Mbpsの伝送速度を実現している。次世代の車載イーサネットの伝送速度は1Gbpsが想定されているが、電気接続で実現できるかは不透明だ。POFによる光接続であれば、車載イーサネットの最大の課題であるノイズの影響もなくせるが、伝送速度が不足しているのがネックになっていた。当社の車載用光通信コネクタは光多値化の技術によって1Gbpsの電動速度を実現できているので、次世代の車載イーサネットに最適だ」としている。
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