デンソーのSiCインバータがさらに進化、出力密度は1.6倍の100kW/lに:人とくるまのテクノロジー展2014
デンソーは、「人とくるまのテクノロジー展2014」において、従来比で約1.6倍となる100kW/l(リットル)の出力密度を達成したSiC(シリコンカーバイド)インバータを披露した。
デンソーは、「人とくるまのテクノロジー展2014」(2014年5月21〜23日、パシフィコ横浜)において、SiC(シリコンカーバイド)パワーデバイスを用いたインバータ(SiCインバータ)の最新開発成果を披露した。
SiCインバータは体積が0.75l(リットル)で出力が75kW。出力密度は100kW/lを達成している。「冷却ファンやヒートシンクなどの空冷システム、平滑用コンデンサ、ドライバ回路など、インバータに求められる機能を全てモジュール内に収めた上で達成した出力密度だ」(同社)という。
同社は、2012年5月の「人とくるまのテクノロジー展2012」で出力密度は60kW/lのSiCインバータを公開している(関連記事:デンソーが小型SiCインバータを披露、出力密度は世界最高水準の60kW/l)。2年間の研究開発を経て、出力密度を67%増やすことに成功した。
SiCデバイスはトレンチタイプのSiC-MOSFETを使用した。チップサイズは5mm角で、耐圧は1200V、電流容量は100A、オン抵抗は3.5mΩcm2である。ダイオードについては、出力密度が60kW/lのSiCインバータで採用したSiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)に換えて、SiC-MOSFETのボディダイオードを用いている。
出力密度100kW/lのSiCインバータの詳細については、米国ハワイ州で開催されるパワー半導体の国際会議「International Symposium on Power Semiconductor Devices & ICs(ISPSD)2014」で発表する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- デンソーがSiCインバータの量産開発を2016年に開始、サイズは従来品の半分以下
デンソーは、「第43回東京モーターショー2013」のプレスカンファレンスにおいて、次世代パワー半導体として知られるSiCデバイスを用いた小型インバータの量産開発を2016年から始める方針を明らかにした。 - SiCデバイスを使えばどこまで小型化できるのか、ロームとアルプス電気が示唆
電力変換回路の消費電力低減や小型化、軽量化が可能なSiC(シリコンカーバイド)デバイス。「CEATEC JAPAN 2012」におけるロームとアルプス電気の展示から、SiCデバイスによる小型化の方向性が見えてきた。 - デンソーが小型SiCインバータを披露、出力密度は世界最高水準の60kW/l
デンソーが「人とくるまのテクノロジー展2012」で披露したSiCインバータモジュールは、世界最高水準となる60kW/l(リットル)の出力密度を達成している。