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デンソーが小型SiCインバータを披露、出力密度は世界最高水準の60kW/l人とくるまのテクノロジー展2012

デンソーが「人とくるまのテクノロジー展2012」で披露したSiCインバータモジュールは、世界最高水準となる60kW/l(リットル)の出力密度を達成している。

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 デンソーは、「人とくるまのテクノロジー展2012」(2012年5月23〜25日、パシフィコ横浜)において、次世代パワー半導体として期待されているSiC(シリコンカーバイド)デバイスを用いた「SiC小型インバータモジュール」を披露した。最高出力密度は60kW/l(リットル)で、「世界最高水準を達成した」(同社)としている。

 インバータモジュールのスイッチング回路を構成する、パワー半導体のSiC-MOSFETと、ダイオードのSiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)といったSiCデバイスは、デンソーとトヨタ自動車、豊田中央研究所の3社で共同開発した。SiC-MOSFETは、低オン抵抗を特徴とするトレンチタイプである。耐圧は1200Vで、オン抵抗は30mΩ(ドレイン電圧が2Vのとき)。チップサイズは5mm角である。

デンソーの「SiC小型インバータモジュール」
デンソーが披露した「SiC小型インバータモジュール」である。左側が試作品で、右側は製品化時のイメージとなっている。
「SiC小型インバータモジュール」の構成
SiC小型インバータモジュールの構成。モジュール上部にある黒色の平滑用フィルムコンデンサの下側にインバータの主回路が組み込まれている。インバータの主回路の下には冷却ファンが、モジュールの前面にはゲートドライバ回路を作り込んだプリント基板が配置されている。

 高性能のSiCデバイスの採用に加えて、SiCデバイスの配置や配線などを工夫したパッケージングによりインバータ回路のインダクタンスを低減した。これらの取り組みにより、平滑用フィルムコンデンサやゲートドライバ回路を含めたインバータモジュールの容積を0.5lまで小型化することができた。スイッチング動作時の最高出力は30kWを達成しているので、最高出力密度は60kW/lとなる。また、シリコンベースのIGBTを用いたインバータモジュールと比べて、動作損失を68%低減できたという(電流値が30Armsの場合)。なお、インバータモジュールの冷却は、ファンを使った空冷である。

 デンソーは、「今回は試作したインバータモジュールの基本動作を確認することが目的だったので、スイッチング速度はシリコンデバイスを使った一般的なインバータよりも少し高速になる程度に抑えた。また、実装材料はシリコンデバイス向けのものを使用しているので、200℃を超える素子温度で動作はさせていない」としている。

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