“スーパーCCDハニカム”で高画質化、富士フイルムが細径内視鏡を発売:医療機器ニュース
高い挿入性と処置機能、高画質化を実現した下部消化管用処置用スコープ(細径内視鏡)「EC-580RD/M」が富士フイルムから発売される。内視鏡検査や内視鏡下手術の時間が短縮されることにより、医師のストレス軽減や患者への負担軽減に寄与することが期待されている。
富士フイルムは、2014年5月1日、下部消化管用処置用スコープ(細径内視鏡)「EC-580RD/M」を富士フイルムメディカルを通じて発売した。挿入性と処置機能を向上させ、独自の技術で高画質化を実現させたという。価格は、340万円(税別)。
EC-580RD/Mは、独自の画像センサー「スーパーCCDハニカム」とゆがみの少ないレンズを搭載している。ノイズ低減技術と組み合わせることで、解像度が高くゆがみの少ない画像が提供できるという。スーパーCCDハニカムは、フォトダイオードの配列を従来型CCDの正方格子配列から45°回転させて、形状を受光面積の大きな八角形にしたもの。この構造により、解像度、感度、ダイナミックレンジ、S/N比、色再現性といった要素がバランスよく向上し、高画質を実現できるとしている。
全長が長く、曲がりくねっている大腸に挿入する内視鏡は、患者の苦痛を和らげるための細さと軟らかさが求められる一方で、操作しやすいようにある程度の硬さも必要とされる。EC-580RD/Mの挿入性は、軟性部外径を細径化することと軟性部をしなやかにすることで向上させた。軟性部外径は、従来機「EC-450RD5/M」の12.8mmから10.5mmまで細くしている。また、手元から先端部に向かって軟らかさを変化させ、しなやかな軟性部を実現することで、手元側の力が先端部に伝わりやすくなったという。
一方、処置機能は、鉗子(かんし)口径の大きさと鉗子口などの配置、内視鏡の先端部分の湾曲角を工夫することで向上させた。鉗子口径は、液体などの吸引や処置具の出し入れに必要な3.2mmを確保した。内視鏡の先端部分の湾曲角は210°。小回りが利くので、大腸内にあるひだの裏側など観察しにくい部位が見やすくなっている。
富士フイルムによれば、EC-580RD/Mによって、増加傾向にある内視鏡下手術において検査時間を短縮し、医師のストレス軽減や患者への負担軽減が期待できるという。
視野方向 | 0°(直視) |
---|---|
視野角 | 140° |
観察範囲 | 3〜100mm |
先端部外径 | 9.8mm |
軟性部外径 | 10.5mm |
湾曲角 | UP:210°/DOWN:160°/RIGHT:160°/LEFT:160° |
有効長 | 1,330mm |
全長 | 1,630mm |
鉗子口最小径 | 3.2mm |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 手術器具の死角をARで可視化、早稲田大学が鉗子を透明化する技術を開発
早稲田大学が、内視鏡手術中に鉗子(かんし)の死角となる領域を透明化する可視化技術を開発。画像処理によって、手術器具があたかも透明になったかのような拡張現実感(AR)を実現している。 - 再生医療の道を開く、超音波メス向けの測定/制御装置をわずか1週間で開発
腹部を大きく切らずに行う内視鏡下外科手術。同手術を進展させる技術として期待されているのが、超音波を利用して切開する、いわゆる“超音波メス”だ。日本大学工学部は、National Instrumentsのシステム開発ソフトウェア「LabVIEW」などを使い、超音波メスの開発に向けた測定/制御装置を、わずか1週間で開発した。 - 新プロセッサで高精細の画像を実現、富士フイルムの携帯型超音波画像診断装置
富士フイルムは2014年5月より、携帯型の超音波画像診断装置を発売する。同社の画像処理技術と、機器の小型化を得意とするFUJIFILM SonoSiteの技術を組み合わせて開発したもの。医師の診断ワークフローを分析し、ユーザビリティも改善している。