新プロセッサで高精細の画像を実現、富士フイルムの携帯型超音波画像診断装置:医療機器ニュース
富士フイルムは2014年5月より、携帯型の超音波画像診断装置を発売する。同社の画像処理技術と、機器の小型化を得意とするFUJIFILM SonoSiteの技術を組み合わせて開発したもの。医師の診断ワークフローを分析し、ユーザビリティも改善している。
富士フイルムは2014年4月2日、携帯型の超音波画像診断装置「FUJIFILM FC1(フジフイルム エフシーワン)」を富士フイルムメディカルを通じて5月12日より発売すると発表した。新開発の画像処理MPU(Micro Processing Unit)を搭載したことで、画像表示が鮮明・高解像度になるとしている。
新製品は、富士フイルムと同社が2012年に買収したFUJIFILM SonoSite、両社が強みとする技術を組み合わせて開発された。
画像関連の技術は、富士フイルムが担当した。新開発した高度なアルゴリズムと音速補正技術を持つMPUを搭載し、超音波の送受信で得られる膨大なデータを高速に処理する。超音波画像特有のスペックルノイズ*)を半減し、被写体の組織の境界や性状の描写力に優れた高解像度な画像を安定して取得できるようになった。これにより、画像の濃淡・階調のパラメータ調整などの複雑な操作をしなくても、例えば血管の壁面がクリアに見えるなど、診断部位をより鮮明に観察できるという。
*)超音波の波長に比べて小さな散乱体群によって生じる散乱波が干渉し、ランダムにまだらな点状の像が発生する現象。
もう一方のFUJIFILM SonoSiteは、ハードウェア面の開発を担った。機器本体の軽量化・小型化を図り、一体成形のパネルを採用することで、簡単に掃除ができて汚れが入り込みにくいようにした。その結果、携帯型装置としての使い勝手が向上したという。また、患者の体に接触するプローブは、落下や振動に強いつくりになっている。購入後の保証期間も5年間と長めに設定した。
さらに、ユーザビリティを改善するために医師の診断ワークフローを分析した。患者の氏名の入力から診断画像を保存するまでの一連の業務の中でよく使用する機能を突き止め、それらを行うボタンを大きくして前方に配置した。その他、計測などの機能利用時に操作するタッチパネルを大型化。表示内容の一覧性を高め、ユーザーが探している機能を見つけやすくしたという。
標準価格は、プローブが2本付いた基本仕様のもので1171万3000円(税別)。その他の詳細は以下のとおり。
表示モード | Bモード、Mモード、カラードプラ、パワードプラ、PWモード、CWモード |
---|---|
走査方式 | リニア走査/コンベックス走査/セクター走査 |
観察モニター | 12.1インチカラーLCD |
電源 | AC100V 50/60Hz 最大2.5A(ACアダプター使用時) |
バッテリー電源 | 充電式リチウムイオン |
バッテリー動作時間 | 約1時間 |
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