Kinectが医療検査を変える、東洋大学の側弯症計測システム:医療機器ニュース
東洋大学は、早期発見できれば手術が不要となる側弯(そくわん)症の検査向けに、Kinectを活用する「側弯症計測システム」を開発した。従来の3Dカメラでは100万円以上かかっていた計測が、数万円でできるようになるという。
東洋大学は2014年4月9日、同大学理工学部生体医工学科の寺田信幸教授らの研究グループが、Kinectを活用した「側弯症計測システム」を開発したと発表した。
Kinect for Windowsセンサーを題材とした技術コンテスト「Kinect for Windows Contest 2012」でグランプリを受賞した技術が基になっている。4月1日には、この技術を用いた製品の商品化、製造・販売による技術の普及・拡散と医療貢献を目的として、エーアンドエーと実施許諾契約書を締結している。
側弯症とは、背骨が曲がってしまう病気を指し、日本国内の推定患者数は127万人(100人に1人程度)といわれている。学校保健法で検査項目の1つとなっているが、目視で検査を行っているので、主観による検査結果のばらつきや検査時間が長いといった問題があった。目視以外にX線を利用して背骨の曲がり具合を測定したり、モアレ画像法で体の隆起を測定したりする手法もあるものの、被ばくや計測装置が高価であることなど、検診、数値化に不向きだった。そのため、定量的に計測できて再現性が高く、安価で小型・軽量な計測システムの開発が求められていた。
今回のシステムは、3Dカメラを利用するため、数値化に適していて検査時間も短縮できる。被ばくの心配もない。さらにKinectを活用することで、従来の3Dカメラでは100万円以上かかっていた計測が、数万円でできるようになった。
システムは、3Dカメラ(Kinect for Windows センサー)、組み込みOS(Windows Embedded)を利用した解析PC、被験者の位置決めを容易にする基準プレートの3点から構成される。PCを専用機にすることで、電源を入れて撮影ボタンを押すだけで計測から解析までできるようにするなど、操作方法も簡素化し、商品化が可能となった。
側弯症は早期発見できれば手術が不要となる。同大学は、このシステムの実用化により、定量的な結果が出て、短時間で終わる安価な検診が可能になり、重症化してしまう患者の数を減らすことができるとしている。
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