ホンダがハイブリッド車以外にもDCTを採用、世界初のトルクコンバータ付き:エコカー技術
ホンダが「ニューヨークモーターショー2014」で発表したアキュラブランドの新型車「TLX」は、世界初となるトルクコンバータ付き8速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)を採用した。ハイブリッド車に限定してDCTを採用していた同社だが、非ハイブリッド車にもDCTの適用を始めたことになる。
ホンダは2014年4月17日、「ニューヨークモーターショー2014」(一般公開日:2014年4月18〜27日)において、高級車ブランドAcura(アキュラ)の新型車「TLX」の量産モデルを発表した。米国での販売開始は2014年後半を予定している。
TLXは、現在アキュラが販売している「TL」や「TSX」に置き換わるミドルサイズの高級セダンである。TLと比べて全長を短くする一方で、ホイールベースとタンデムディスタンスはTLと同等。スポーツセダンにふさわしい、しなかやで引き締まったエクステリアデザインを実現したという。
パワートレインは2タイプ用意した。まず、新開発の排気量2.4l直列4気筒直噴エンジンは、これも新開発となるトルクコンバータ付き8速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)と組み合わせた。「世界初」(ホンダ)とするトルクコンバータ付き8速DCTにより、DCTの特徴である素早い変速やシフトダウン時の自動回転合わせなどによるスポーティーな走りと、トルクコンバータによって得られる低速走行時のスムーズな走りを同時に実現している。米国環境保護庁(EPA)の基準に沿った燃費は、市街地が24mpg(10.2km/l)、高速道路が34mpg(14.4km/l)、複合モードが28mpg(11.9km/l)となっている。
ホンダは、新型「フィット ハイブリッド」に搭載する「i-DCD」やアキュラブランドの「RLXハイブリッドタイプ」に搭載する「Sport Hybrid SH-AWD」といったハイブリッドシステムに限定してDCTを採用していた。ハイブリッドシステムを搭載しない内燃機関車でDCTを採用するのは、今回のTLXが初となる。今後、排気量2lクラスの中型車でトルクコンバータ付き8速DCTの採用を広げていく可能性は高い。
一方、排気量3.5lのV型6気筒直噴エンジンは、状況に応じて使用気筒数を6気筒と3気筒に切り替えられる可変シリンダーシステム(VCM)を採用。これに、9段変速の自動変速機(AT)を組み合わせている。EPA燃費は、市街地が21mpg(8.9km/l)、高速道路が31mpg(13.1km/l)、複合モードが25mpg(10.6km/l)。3.5lエンジンモデルの場合、従来比で25%軽量化した四輪駆動システム「SH-AWD」を搭載するグレードも選択可能である。
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