京子がクルマつくってるらしいよ(@_@;):モデルベース開発奮戦ちう(1)(4/4 ページ)
技術者であれば一度は聞いたことがあるかもしれない「モデルベース開発」という言葉。本連載では、主人公である電装部品メーカーの若手女性技術者・小野京子が、“燃費世界一”を目指すクルマの開発に関わる中で、モデルベース開発を一から学びつつ、技術者としても成長していく姿を描きます。京子の奮戦に乞うご期待!
「無償公開というのは信じられないなぁ」
数日後のプロジェクト会議で、私と五十嵐さんは、以下のようなモデルベース開発についての調査結果を報告した。
- モデルベース開発は、シミュレーションを活用して車両を作らなくても開発を進められる技術である
- モデルベース開発には機器やソフトウェアといったツールが必要になる
- JMAABというモデルベース開発の推進団体がある
恐らくモデルベース開発はまだ発展途上です。先進的な取り組みを行っている一部の自動車メーカーは、モデルベース開発によって自動車業界全体の技術の底上げを期待しているんだと思います。そういった自動車メーカーが参加しているJMAABのような団体が、無料のオープンカンファレンスを開催したり、さまざまな資料を無償で提供していたりするのはそのためでしょう。JMAABの資料の中には、モデルの書式を規定したスタイルガイドというものもあり、一定レベル以上の標準化を意識しているようにも思えます。本当にこれらがわれわれにとって有益かどうか、もう少し深い調査を行いたいと思います。
書式というと、図面の見方や書き方だよね。普通それは会社のノウハウになるから無償公開というのは信じられないなぁ。有益かどうか調べるって言ったけど、目星は付いているの?
はい。JMAABのオープンカンファレンスで大学の先輩に会いました。この先輩は豊産自動車でバンビーナの開発プロジェクトにも属しています。偶然会ったんですけど、いろいろと相談に乗ってくれるそうです。
では早速取り掛かってみて。
そこで私は、鈴木さんにミーティングのアポを取るためのメールを送ることにした。今度は、大学の先輩と後輩として会うわけじゃない。自動車メーカーの豊産自動車と、サプライヤの三立精機の開発打ち合わせとして会うことになるのだ(以下、次回に続く)。
執筆者プロフィール
JMAAB/今さら聞けないMBD委員会
JMAABのWebサイト http://jmaab.mathworks.jp/
モデルベース開発(MBD)を発展させるべく、自動車メーカーとサプライヤからなる団体『JMAAB』は13年前(2001年)に生まれました。このJMAABの10周年記念において、「MBDを分かりやすく伝えたい」という目的で発足したのが『いまさら聞けないMBD委員会』です。委員会メンバーが所属する10社でMBDを推進してきたエンジニアが協力し、これまでの経験や将来の夢を伝えるべく推敲を重ね、本連載は完成しました。皆さまのモノづくりの一助となれば幸いです。
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