増えない国内工場、新規工場立地はリーマンショック以降ずっと低水準:もはや為替の問題ではない
経済産業省が公表した工場立地動向調査によると、2013年(平成25年)の工場立地件数は前年比1.5倍以上の高水準となったものの、その大半がメガソーラーなどを中心とした電気業という状況となった。
経済産業省が公表した2013年(平成25年)の工場立地動向調査の結果(速報)によると、1000m2以上の用地を取得した「工場立地」は前年比52.6%増の1873件、立地面積は同2.4倍となる7534ヘクタールとなるなど大きく伸長した。しかしその大半が太陽光発電(メガソーラー)を目的とした電気業による立地案件で、電気業を除いた工場立地件数は前年比11.6%減の829件、工場立地面積は同2.4%減の1076ヘクタールと減少した。
2013年の工場立地件数である1872件は、2008年(平成20年)のリーマンショック以降で最高の数値で、立地面積である7534ヘクタールは統計が示されている1967年(昭和42年)以降で最高の数値となっている。
大きなけん引役となったのが太陽光発電事業だ。事業者向け太陽光発電に補助金が交付されることもあり、電気業向けの工場立地は2011年(平成23年)が立地件数13件、立地面積31ヘクタールだったのが、2012年(平成24年)には289件、2036ヘクタールへと急成長した。2013年はその動きをさらに加速させ、立地件数は1044件、立地面積は6458ヘクタールとなり、新たな工場立地を電気業が取得する結果となった。
電気業以外の工場立地はリーマンショック以降低迷
一方で、製造業、ガス業、熱供給業など、電気業を除いた事業者の工場立地については、リーマンショック以降低水準が続いている。2008年には立地件数1619件、立地面積2146ヘクタールだったのに対し、2009年(平成21年)には同856件、1296ヘクタールにほぼ半減した。それ以降は同じ程度の低水準で推移し、2013年も829件、1076ヘクタールと回復の兆しは見えない状況が続いている。
製造業の立地件数を業種別に見ると、食料品166件(構成比8.9%)、金属製品83件(同4.4%)、生産用機械61件(同3.3%)、輸送用機械57件(同3.0%)の順となった。前年との比較では、金属製品、輸送用機械、化学工業、電子部品・デバイス・電子回路などの15業種で減少し、鉄鋼業、パルプ・紙・紙加工品、印刷・同関連業などの7業種で増加している。
製造業における生産拠点の立地はリーマンショック以降に大きく変化している。新興国の成長によるグローバル最適地生産の推進とともに、為替の円高状態が続いたことなどから、国内工場の海外移転が進んだ。安倍政権の発足以降、円高状態については是正が進んだものの、製造業にとっては国内へ新たな生産投資を行う理由はあまり見いだせない環境が続いている。
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