パナソニックの竹スピーカが進化、竹プラントオパールの採用でより高音質に:車載電子部品
パナソニックの竹材料を振動板に使用した「竹スピーカ」がさらなる進化を見せている。2006年に開発した際には、竹繊維100%の振動板を使用していたが、現在は竹繊維と竹炭を強化材とした樹脂振動板を用いた製品を展開している。今回発表した新製品では、竹の葉から抽出した硬質材料である竹プラントオパールを樹脂振動板に採用することでさらなる高音質化を果たした。
パナソニック オートモーティブ&インダストリー(AIS)社は2014年2月25日、竹の葉から抽出した硬質材料である竹プラントオパールをスピーカの振動板に採用し、ひずみの少ないクリアな音により原音に忠実な音質再生を可能にする「竹プラントオパールスピーカ」を製品化したと発表した。竹プラントオパールをスピーカに採用するのは「業界初」(同社)だという。3月1日からサンプル販売を開始する。価格は非公開。カーオーディオの他、一般音響機器にも展開する方針。
トヨタ自動車が同年1月16日にマイナーチェンジした「レクサスCT200h」の標準カーオーディオも、スピーカに竹プラントオパールを「世界初採用」(同社)したとしており、今回のパナソニックの製品を搭載した可能性が高い(関連記事:スピンドルグリル導入の「レクサスCT200h」、“世界初”のスピーカーも採用)。
自動車の車室内で、家庭内と同様に高音質で音楽を楽しみたいという要望は強い。高音質な音声をスピーカから出力するには、小さいひずみや広い再生帯域といった特性が必要になる。これらのスピーカの特性を支えているのが振動板である。振動板の剛性が高いほど、音の伝わりと振動の収まりが速くなり、不要な余韻も少なくなる。ただし、振動板の剛性を高めるとサイズが大きくなり重量も重くなってしまうため、燃費向上のため部品の小型化や軽量化が求められる自動車の要求と相反してしまうという課題があった。
竹プラントオパールスピーカは、この課題を解決すべく、従来品の「竹繊維・竹炭使用樹脂振動板スピーカ」の樹脂振動板で用いていた竹繊維と竹炭に加えて、竹の葉に分布する釣り針状の硬い材料である「竹プラントオパール」を強化材として採用。軽量化と高剛性化を両立することに成功した。竹繊維・竹炭使用樹脂振動板スピーカと比べて、剛性と関連する曲げ弾性率を約40%、再生帯域の拡大と関連する音速を約10%、音質と関連する内部損失を約20%向上した。
パナソニックは2006年に、同志社大学と共同で竹繊維100%の振動板を用いた竹繊維スピーカを開発。2008年には、竹繊維と竹炭を強化材に用いた樹脂振動板を使う竹繊維・竹炭使用樹脂振動板スピーカを発表している。この竹繊維・竹炭使用樹脂振動板スピーカは、一般的な天然繊維を強化材に用いた樹脂板と比べて、10〜15%軽く、弾性率が約25%、音速が10%向上できることを特徴としていた。
竹は、竹繊維や竹炭、竹プラントオパールなど、スピーカの樹脂振動板の材料に適した特性を有する材料が得られる他、生育が早いので部品の材料として使用すると環境負荷を抑えられるという利点もある。
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