燃料電池車の普及に必要な水素ステーション、神戸製鋼が設置面積を半減:電気自動車
神戸製鋼所は、燃料電池車に水素を供給する水素ステーションの建設に用いるパッケージ型水素ステーションユニット「HyAC mini」を開発した。従来比で、水素ステーションの建設費用を約20%、設置面積を約50%削減できるという。
神戸製鋼所は2014年2月24日、燃料電池車に水素を供給する水素ステーションの建設に用いるパッケージ型水素ステーションユニット「HyAC mini」を開発したと発表した。水素ステーションに必要な主要機器の一部を集約することで大幅なコストダウンとコンパクト化を実現した。具体的には、水素ステーションの建設費用を従来比で約20%、設置面積を同約50%削減できるという。販売価格は2億5000万円以下を想定。2014年4月から受注を開始する。
従来の水素ステーションでは、高圧水素用圧縮機や冷却設備などの主要機器は個別に設置されていた。神戸製鋼所は、2012年度に開発を完了した「水素ステーション用大容量高圧水素圧縮機(HyAC)」や「マイクロチャネル熱交換器(DCHE)」の組み合わせにより水素ステーションの省スペース化を図ってきた。しかし、2015年に市場投入が始まる燃料電池車に必要な水素ステーションの本格的な普及に向けては、機器仕様の標準化による低価格化や、設置スペースのさらなる削減が必要になっていたという。
同社は、水素ステーションの実証実験でHyACやDCHEを納入/運用してきた実績から得た各機器の最適な選定を行うノウハウと、汎用圧縮機事業で培ったコンパクトに設計する技術を融合。主要機器を集約して、設置面積を大幅に低減できるパッケージ型水素ステーションユニットとしてHyAC miniを開発した。
HyAC miniの寸法は、幅3.2×奥行き4.0×高さ4.7m。従来のように、各機器を個別に集約せずに設置する場合と比べて、設置面積を50%削減できているという。充てん方式は、水素ステーション側の圧力と燃料電池車の水素タンクの圧力差を用いる差圧充てん。充てん圧力は70Mpaの高圧水素タンクにも対応している。水素供給能力を示す圧縮機能力は340Nm3/hで、1時間当たり6台の燃料電池車への水素充てんが可能だ。蓄圧器の充てん圧力は82Mpa。
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