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燃料電池車に再び熱い視線、大手自動車メーカーが次々協業エネルギー技術 電気自動車(1/2 ページ)

2013年7月、General Motorsとホンダが燃料電池車の共同開発を発表した。その半年前となる1月には、日産、ダイムラー、フォードも燃料電池車の開発で協業すると発表している。今後ますます厳しくなる自動車の排出ガス基準に対応すべく、燃料電池車への注目が再び高まっている。

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 General Motors(GM)とホンダは2013年7月、燃料電池車の普及を目指し、燃料電池車向け水素パワートレインを共同開発すると発表した。水素パワートレインは、燃料電池と水素タンクで構成される。2020年までに新しい燃料電池車の実用化を目指す(関連記事:ホンダとGMが燃料電池車の共同開発を正式発表、実用化時期は2020年)。

 電気自動車(EV)は、大型のリチウムイオン電池パックに貯蔵された電力を使う。水素自動車はEVとは異なり、水素と空気中の酸素の電気化学反応によって燃料電池から発生する電力を使用する。燃料電池車の排気管からは、水蒸気しか排出されない。

 燃料電池車は走行距離が長く、燃料である水素の充填(じゅうてん)時間が短いなど、EVに比べて明らかに優れている点があるにもかかわらず、自動車業界は燃料電池車に常に注目してきたわけではなかった。多くの自動車業界関係者や市場アナリストは、燃料電池車の開発が遅々として進まない理由は、水素ステーションの不足にあると考えている。水素ステーションの設置には、1基当たり100万〜200万米ドルのコストがかかるからだ。

 では、インフラの整備問題がまだ解消されていないにもかかわらず、水素燃料への注目が再び急速に高まっているのはなぜだろうか。

 この疑問を解くキーワードが、「政府による規制の強化」だ。

 米国の市場調査会社であるABI Researchは2004年に、燃料電池車市場の予測を大幅に下方修正したことがある。当時、同社のエネルギー調査部門でディレクタを務めていたAtakan Ozbek氏は、「政府と地方自治体の両方が、燃料電池車の開発や推進に向けた施策をより明確に打ち出さない限り、燃料電池車業界の真の発展は始まらない」と述べていた。

 それから10年がたった今、自動車メーカーは、米国や欧州、日本において、政府が設定した厳しい排出ガス規制への対応を迫られている。

 自動車メーカー各社は、燃料電池車の開発を強化する一方で、ハイブリッド車やEVによる新燃費基準への対応も急いでいる。どれか1つに開発を集中させているメーカーはないようだ。


ホンダの燃料電池車「FCXクラリティ」の燃費を、小型のガソリン自動車や小型のハイブリッド車と比較している。

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