検索
連載

「どのデバイスが最適か?」――モーションセンサー3機種を徹底比較!!モーションセンサーで組み込み機器はどう変わる?(4)(3/4 ページ)

数あるモーションセンサーデバイスの中から「Kinect for Windows」「Creative Senz3D/Intel Perceptual Computing」「LEAP Motion」の3つを取り上げ、各デバイスの機能や特徴を、ハードウェア/ソフトウェアの両面から比較する。また、開発者向けに提供が開始された「Kinect for Windows V2」についても紹介する。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

Intel Perceptual Computing SDK

 「Intel Perceptual Computing SDK(以下、PerC SDK)」では、手や指先の位置を追跡する機能が用意されています。手を使ったジェスチャーやポーズも標準で幾つか用意されており、近距離で手指の動きを見るようなアプリケーションの開発に向いています。

 手指の開閉度合を取得する機能も用意されているため、「指で何かをつかむ」といった動作の認識も得意です。


Intel Perceptual Computing SDKの手指検出
図10 Intel Perceptual Computing SDKの手指検出

 PerC SDKは、NUIを実現するためのさまざまな機能が1つのSDKに包括されています。

 手指を使ったジェスチャー操作だけではなく、カラーカメラを使った、表情、性別、年齢層などの属性を検出する機能や、顔認識(個人識別)の機能が含まれています。また、音声認識ではDragon Assistantのエンジンを採用するなど、他のSDKと比べて顔認識や音声認識の機能が特に充実しています。

フェイストラッキング背景除去 図11(左) Intel Perceptual Computing SDKのフェイストラッキング/図12(左) 同じく背景除去 ※画像クリックで拡大表示

 このあたりは、ノートPCやタブレットPCなどに標準搭載することを目指して開発が進められてきたという背景もあり、人間がコンピュータをより直感的に、自然に操作するために必要なNUIの要素が、SDKの機能として提供されているのでしょう。

Intel Perceptual Computing SDKの音声認識
図13 Intel Perceptual Computing SDKの音声認識

PerC最新情報

中村俊介氏
図14 2014 International CESの基調講演で「KAGURA for PerC」のデモを実演する中村俊介氏(写真提供:しくみデザイン) ※画像クリックで拡大表示

 PerC SDKを提供しているIntelは、PerCを活用したアイデアの発掘にも積極的です。

 Intelは、PerCを活用した世界規模のアプリコンテスト「Intel Perceptual Computing Challenge」を開催し、全世界16カ国から約2800作品の応募があったそうです。このコンテストでは日本の企業「しくみデザイン」の中村俊介氏が見事グランプリを獲得し、先日開催された「2014 International CES」(2014年1月7〜10日、米国ネバダ州ラスベガス)の基調講演で、中村氏自らグランプリ作品「KAGURA for PerC」のデモを披露しました。


 また、CESでは、同時にIntel Perceptual Computingが「Intel RealSense」に名称を変え、本格的にPCへの搭載を目指した計画が進んでいるという発表がありました(関連記事:Intel、次世代UI技術「RealSense」を正式発表――3D Systemsと協業し3Dスキャン技術の提供も)。既にセンサーも、PC内蔵用に小型化されたモジュール(RealSense 3Dカメラ)として開発が進められており、ノートPCのWebカメラがRealSense 3Dカメラに置き換わる日もそう遠くはないようです。PCにモーションセンサーが標準的に搭載される動きは、今後の組み込み機器向けのモジュール提供の可能性を含めて、筆者自身も非常に注目しています。


LEAP Motion SDK

 PerC SDKが手指以外の音声認識や顔認識など複数の機能を持つのに対して、「LEAP Motion SDK(以下、LEAP SDK)」は、手指のより細かな位置や向き、動きを認識する機能に特化しています。指先だけでなく、手に持ったペンなどの道具を認識し、ペン先で細かな操作をするといった使い方ができる他、ジェスチャーの認識も指先を使ったものが幾つか用意されています。

 手指の動きを使う場面で、より近距離で細かな動きの認識が必要な場面では、PerCよりもLEAPの方が最適だといえます。

LEAP Motion SDKの手指検出
図15 LEAP Motion SDKの手指検出
LEAP Motionが認識する手指の位置
図16 LEAP Motionが認識する手指の位置や方向、手に持った道具の認識(出典:Leap Motion SDK APIリファレンス)
LEAP Motionのジェスチャー認識
図17 LEAP Motionのジェスチャー認識(出典:Leap Motion SDK APIリファレンス)

LEAP最新情報

 LEAPはアプリケーションを購入したり、ダウンロードしたりできるアプリストア「Airspace Store」が用意されています。このような開発者が作ったアプリケーションを一般のユーザーに提供する仕組みは、KinectやPerCにはありません。

 また、LEAPのデバイスは、日本国内ではBBソフトサービスが正規販売代理店として販売を開始し、家電量販店でも購入できるようになるようです。KinectやPerCが開発者寄りのデバイスとして位置付けられるのに対し、LEAPはキーボードやマウスなどと同じ様に、一般ユーザーでも気軽に利用できます。新たな入力デバイスとして、コンシューマ市場での拡大が期待されます。


 LEAPのアプリストアをのぞいてみるとと、今のところは、ゲーム関係のアプリが大半を占めています。企業向けでは、医療や教育、デジタルサイネージ分野での活用も進んでいるようです。前回の記事で、HPのノートPCにLEAPが内蔵された例も紹介しましたが、将来的には国内のハードウェアベンダー向けのOEMビジネスとして、組み込み用モジュールの提供も進めているとの発表もあり、この先、組み込み分野においてもLEAPを活用した製品開発が進んでいくかもしれません。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る