「プリウスGT」で全戦全勝目指す! フリースケールがスーパーGTに2年連続参戦:車載半導体
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは、カーレース「SUPER GT(スーパーGT)」の「GT300クラス」に2年連続で参戦する。レースカーを使って半導体の研究開発を進めている同社だが、2014年シーズンはレースの勝利も目指す。
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン(以下、フリースケール)は2014年2月19日、東京都内のホテルで、カーレース「SUPER GT(スーパーGT)」の「GT300クラス」への2年連続参戦に向けたキックオフパーティを開催した。
2014年の参戦体制は、2013年の第4戦から協力を仰いでいる有力レーシングチームのエー・ピー・アール(apr)のハイブリッドレースカー「プリウスGT」のメインスポンサーをフリースケールが務め、エンジニアリングはOGT!が手掛ける。車両名は「OGT Panasonic PRIUS」で、カーナンバーは31番である。
キックオフパーティに参加したチームメンバーとスポンサーの代表者。上段左から、豊通エレクトロニクス 営業部門 副部門長の小松洋介氏、東京エレクトロン デバイス社長の栗木康幸氏、丸文社長の水野象司氏、下段左から、チーム監督の金曽裕人氏、ドライバーの嵯峨宏紀氏、フリースケールのデイビット・M・ユーゼ氏、ドライバーの新田守男氏(クリックで拡大)
フリースケールは2012年の「ポルシェ カレラカップ ジャパン」からカーレースに参戦しており、レースカーを使って車載半導体の研究開発を行ってきた(関連記事:「カレラカップ」レースカーで研究開発を推進、フリースケールが新たな取り組み)。2013年にスーパーGTにステップアップしてからも、参戦車両である日産自動車の「GT-R NISMO GT3」を使って研究開発を継続している(関連記事:「GT300プリウス」にサラウンドビュー!? フリースケールがスーパーGTで実験開始)。スーパーGT参戦2年目となる2014年は、GT300クラス参戦車両の中でも大きな注目を集めているプリウスGTを使って研究開発を行うことになった。
フリースケール社長のデイビット・M・ユーゼ氏は、「レース活動への参戦により、日本国内でのフリースケールの知名度は確実にアップしている。アンケート調査で、参戦前の2011年に30%しかなかったフリースケールの認知度が、2013年には70%までアップした。レースカーを使った半導体開発も他の車載半導体メーカーがやったことのない取り組みとして注目を集めている」とこれまでの成果を強調した。
その一方で、「フリースケールを印象付けることには成功したが、今年はそれに加えてレースで勝ちたい。やはり勝負事は勝てないと面白くない」(ユーゼ氏)として、2014年は結果を重視する方針である。
「プリウスGT」を“ビッグマイナーチェンジ”
チーム監督の金曽裕人氏も、「全戦全勝を目指したい。そのためにプリウスGTを“ビッグマイナーチェンジ”といえるくらいの大幅な改良を施すための開発を進めている」と意気込む。具体的には、シャシーとハイブリッドシステムの軽量化により、トータル100kgの車両重量の低減を図っている。「他のGT300レースカーの車両重量が1200kgであるのに対して、プリウスGTは1300kg程度あった。これを同等レベルまで軽量化する」(金曽氏)。また、2013年から連続でプリウスGTのドライバーを務める新田守男氏と嵯峨宏紀氏の意見を取り入れ、パドルシフトを採用するなどドライバビリティの向上も図る。さらに、エアロダイナミクスの改善や、ハイブリッドシステムの性能向上にも取り組むとしている。
「OGT Panasonic PRIUS」の車両デザイン。車両の屋根部に、フリースケールのICロゴが入っており、フロントとリア、サイドの背景色は、フリースケールのコーポレートカラーであるオレンジ色とともに、プリント基板をイメージした意匠も加えられている(クリックで拡大) 出典:フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン
金曽氏は、「2013年の第2戦では、ハイブリッドレースカーとしてスーパーGT初となる優勝を飾ることができた。しかしシリーズ8戦中、ハイブリッドシステムやメカなどのトラブルに悩まされ、完走できたのは2戦だけだった。しかし、その2戦の結果は、優勝と2位で、レースカーの実力は極めて高いことは分かっている。2014年は、勝つ喜びと夢を乗せて走りたい」と述べている。
IoTをより現実的なものとして感じられるように
2014年のレースカーを使った半導体の研究開発テーマは「インテリジェント ガレージ」である。具体的な研究開発の内容は未定だが、スーパーGTの舞台で、IoT(モノのインターネット)サービスの新たなコンセプトの実証実験を行う計画である。
実証実験では、プリウスGTをスマートカー、レースピットをスマートホームに見立てて、これらをクラウドでつなぐなどして、IoTをより現実的なものとして感じられるようにするという。
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