三菱自動車がインホイールモーターEV開発を再開、岡山県と共同研究へ:電気自動車
三菱自動車は、岡山県とインホイールモーターを搭載する電気自動車(EV)の開発に関する共同研究を行うことで合意した。同社が、インホイールモーターEVの開発に取り組むのは、2005年に発表した「コルトEV」と「ランサーエボリューションMIEV」以来、9年ぶりのこととなる。
三菱自動車は2014年2月14日、岡山県と次世代の電気自動車(EV)の開発に関する共同研究を行うことで合意したと発表した。
共同研究のテーマは、インホイールモーターをはじめとする次世代EV技術の研究開発ならびに実証実験車(試作EV)の製作および評価試験となっている。研究機関は2014〜2016年度の3年間。参加機関は、岡山県が設立した「おかやま次世代自動車技術研究開発センター(OVEC)」と、OVECに参加する岡山県内の企業16社、そして三菱自動車である。三菱自動車の主力工場である水島製作所は岡山県倉敷市に位置していることから、共同研究を通して岡山県地元企業の技術力向上や競争力強化に協力していきたいとしている。
主な役割分担は、岡山県側が、モーターをはじめとする次世代EV技術の実用化および小型化に関する研究、試作EVの設計・製作。三菱自動車側が、モーターをはじめとする次世代EV技術の評価技術の研究、試作EVの基本計画(仕様・レイアウト)、システム設計・製作および評価試験となっている。
岡山県は2011年度から2013年度にかけて実施してきた、「おかやま次世代自動車技術研究開発プロジェクト(この略称もOVEC)」の下で、三菱自動車の「ギャラン フォルティス」をベースとする試作EV「OVEC-ONE」を開発している。OVEC-ONEは、SIM-Driveの技術を応用して独自開発したインホイールモーターを4輪に搭載しており、最高出力は180kW(45kW×4)に達する。インバータも独自開発した。同プロジェクトのアドバイザーには、SIM-Driveとともに三菱自動車も入っていた。
「MIEV」は「三菱インホイールモーターEV」の略だった
三菱自動車は2005年5月、インホイールモーターを搭載するEVの車両技術の総称である「MIEV」を発表している。この時点でMIEVは、Mitsubishi In-wheel motor Electric Vehicleの略であり、インホイールモーターEVのことを示していた。
同社はMIEVと併せて、後輪2輪にインホイールモーターを搭載した「コルトEV」を発表。2005年8月には、「ランサーエボリューションIX」の4輪にインホイールモーターを搭載した「ランサーエボリューションMIEV」を開発し、「四国EVラリー2005」に出場した。2005〜2006年にかけて、三菱自動車が開発しているEVと言えば、インホイールモーターEVという印象は強かった。
その後、EVの量産化を早めるために、モーター本体の他に、サスペンションなど車体側の技術開発を伴うインホイールモーターEVの開発を一時棚上げ。2009年7月には、車体側にモーターを1個搭載するEV「i-MiEV」の量産を始めた。なお、i-MiEVのMiEVは、Mitsubishi innovative Electric Vehicleの略に変更されている。
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