自動車と3Dプリンタの関係は遠いようで近い?:オートモーティブワールド2014
アルテックは、「オートモーティブワールド2014」において、自動車開発における3Dプリンタの活用事例を紹介した。デザイン性を求められるインテリア関連部品などの形状確認が中心だが、BMWのように量産車の製造に3Dプリンタを応用している事例もあるという。
アルテックは、自動車技術の展示会「オートモーティブワールド2014」(2014年1月15〜17日、東京ビッグサイト)の出展社セミナーにおいて、自動車開発における3Dプリンタの活用事例を紹介した。
セミナーに登壇したのは同社デジタルプリンタ事業部 3Dプリンタ営業課で主任を務める岡部泰三氏である。岡部氏によれば、世界の3Dプリンタのユーザーのうち、自動車業界が19%を占めるという。これは、トップであるコンシューマ製品業界の22%に次ぐ数字だ。歯科治療のインプラントをはじめ3Dプリンタの活用で先行しているイメージの強い医療/歯科業界の16%よりも多い。
アルテックは、米国Stratasysの3Dプリンタの国内販売を手掛けている。Stratasysの3Dプリンタの世界シェアは57%に達しており、自動車業界でも広く利用されている。
最も活用事例が多いのが、精密な造形が可能な「Objetシリーズ」である。デザイン性を求められるインテリア関連の部品などを形状確認するため試作する際に利用されている。例えば、ステアリングのハンドル部や空調のダクト部などである。岡部氏は、「精密な造形が可能なので、表面に作り込むシボ柄も表現できる」と説明する。インテリア部品以外では、ヘッドランプにおける活用事例を紹介した。Objetシリーズは、透明材料を使用できるので、ヘッドランプのカバーの形状確認ができるだけでなく、造形後のめっき処理も可能なので反射板による光の反射の状態確認も行えるのだ。
Objetシリーズには、硬さの異なる2種類の材料を使って造形できる機種もある。そこで、硬い材料とゴムライクな柔らかい材料を使ってドアのシーリング評価を行った事例もあるという。
一方、FDM(熱溶解積層)方式を用いる「Fortusシリーズ」は、材料としてさまざまなエンジニアリングプラスチックを利用できることが特徴で、造形物を実際の製品に適用することもできる。その特性を最大限に生かした活用事例が、BMWによるエンブレム取り付け用治具の製造だ。従来のエンブレム取り付け用治具は、各車種に合わせた金属製の特注品であるため高価であり、万が一不具合があった場合の修正や作り直しも容易ではなかった。一方、FDMシリーズで製造したエンブレム取り付け用治具は、不具合があってもすぐに修正や作り直しが可能なので、コスト削減や開発期間の短縮につなげられたという。
この他、原寸大のインストルメントパネルを4分割で造形したHyundai Mobisの事例や、PPSF(ポリフェニルサルホン)という高耐熱・高強度の材料を使ってエンジンのインテークマニホールドを試作した事例なども紹介した。
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