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CAEを使いこなすポイントと、レーシングカー設計のCFDMONOistゼミ 2013冬 レポート(1/2 ページ)

2013年12月に開催したMONOistゼミナールに、キャドラボ 取締役 栗崎彰氏、童夢 開発部 マネージャー貴家伸尋氏が登壇。構造と流体、異なる分野からCAEを語った。

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 2013年12月3日、MONOistゼミナール「CAEカレッジ〜設計に使える!CAE活用術」が都内で開催された。まず実践的なCAEのコンサルティングで定評のあるキャドラボ 取締役 栗崎彰氏が、構造解析において解析ツールを使いこなすためのチェックポイントを紹介。続いて「下町ボブスレー」の車体設計に関わった童夢 開発部 マネージャー貴家(さすが)伸尋氏が、レーシングカーにおける流体解析のポイントやボブスレーの開発について語った。


会場の様子

3次元CADに変更するだけではコスト増

 栗崎氏は「CAEという道具は自動車やピアノと同じようなもの」だと述べた。買ってくればそのまま使えるコンパスのような道具ではなく、教習所や専門の教室に通って学ばなければならないものだということだ。以前よりは簡単に使えるようにはなってきているものの、それでも訓練が必要なことに変わりはないという。


キャドラボ 取締役 栗崎彰氏

 ではCAEの前提となる3次元CADの使用状況はどうなっているのだろうか。ある会社では、2次元CADから3次元CADに変更したところ、設計時間が3.5〜3.6倍程度かかるようになったというデータがあるという。さらに3次元CADの購入・運用にはコストも掛かる。2次元CADよりもライセンス料が格段に高い上に、教育費用もばかにならない。

 それにもかかわらず多くの企業が3次元CADに乗り換える理由は、データの有効活用によるメリットを期待するからに他ならない。まず挙げられるのはシリーズ設計における既存データの再利用である。そしてもう1つのメリットが解析への活用だ。構造解析はもちろん、機構解析による仮想性能評価といった利用方法も当たり前に行われるようになっている。

CAE活用で押さえるべきコツ

 だが一方で、構造解析については、多くの設計者が材料力学や有限要素法などの関連知識に自信のないまま解析を行っているのが現状だという。これではCAEで解析結果を出してもそれを検証することができない。だが栗崎氏が以下に示すような最低限の知識を押さえることで、解析結果の精度を飛躍的に上げることができると言う。

 設計の現場を見てきた栗崎氏の経験から、解析を行う設計者、またはその報告を受ける立場の人がチェックするポイントを紹介した。

 栗崎氏が紹介したポイントの1つが、要素の種類および次数の確認だ。ツールによっては有限要素法においてメッシュを見せない傾向にあるとともに、デフォルトが解析のすぐ終わる四面体1次要素であることが多い。これはかなりメッシュを細かくしても変形量が固め、つまり危険側に結果が出る。最低でも2次要素を使わなければいけないという(関連記事:「ソリッド四面体1次要素は、デンジャラス!?」)。


要素によって変わる解析精度

 また当たり前のことだが、解析は何回かメッシュサイズを変化させて確認していかなければ1度きりの解析ではそれが正しいかを判別することはできない。メッシュを細かくしていき、最大変形量が一定の量になり始めた時点での解析結果を採用するべきとのことだ。


最適なメッシュサイズの求め方

 そして最大の難関が特異点だという。例として示したのがいわゆるピン角(尖った角)である。これを有限要素法の世界に持ち込むと応力は無限大になってしまう。不適切な拘束条件を設定してしまった時なども同様だ。メッシュサイズを小さくして応力がどんどん上がっていく場所が特異点だと分かるので、これは除外して表示する必要がある。

 他にも解析の種類の把握や応力の種類の確認、降伏応力や拘束条件などのポイントについて解説した。これらの言葉で分からないものがあれば理解しておかないと、設計者が解析することはなかなか難しい。そのためには基本的だが材料力学や有限要素法の地道な座学しかないと栗崎氏は強調した。

ミスの6割が単位換算による

 またこれらに加えたいくつかのテクニックも紹介した。その1つが単位換算のチェックだ。栗崎氏によると、さまざまな解析の失敗例のうち実に6割以上が単位系および単位換算のミスによるものだという。単位換算を行うには、単位換算表、単位換算ソフト、そして「ユニットマーケット」のようなWebサイトを利用する方法がある。この中から栗崎氏は2種類以上を使って確認しているという。解析ソフトによっては単位が書かれていないものもあるので要注意だということだ(関連記事:「単位系の統一をキチンとしないから解析をミスる」)。

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