新型「ノア/ヴォクシー」が低床プラットフォームから得た2つのメリット:「セレナ」「ステップワゴン」と比較(2/3 ページ)
トヨタ自動車は、5ナンバーサイズのミニバン「ノア」と「ヴォクシー」をフルモデルチェンジした。新開発の低床プラットフォームの採用により室内空間を大幅に拡大するとともに、ハイブリッドモデルについては「アルファード/ヴェルファイア」では実現できなかった1列目シートから2列目/3列目シートへのウォークスルーが可能になった。
「セレナ」「ステップワゴン」と比較
ノア/ヴォクシーと競合する5ナンバーミニバンと言えば、日産自動車の「セレナ」とホンダの「ステップワゴン」だろう。現行のセレナは2010年11月、ステップワゴンは2009年10月に全面改良したモデルである。ただし、セレナは2012年7月にマイクロハイブリッドシステムの「S-HYBRID」の導入によって燃費を向上し、2013年12月には自動ブレーキ機能「エマージェンシーブレーキ」の採用やさらなる燃費の向上を図ったビッグマイナーチェンジを行っている(関連記事:日産が単眼カメラ自動ブレーキを横展開、「セレナ」と「ノート」に搭載)。ステップワゴンも2012年4月のマイナーチェンジで、新型CVTとアイドルストップシステムの採用により燃費を向上している。
表1は、新型ノア/ヴォクシー、セレナ、ステップワゴンの外形寸法(全長×全幅×全高)、ホイールベース、最小回転半径、エンジン性能(最高出力/最大トルク)、燃料タンク容量、JC08モード燃費、室内寸法(室内長×室内幅×室内高さ)、スライドドア開口部の寸法(開口幅×乗り込み口の高さ)、荷室開口部の床高さ、車両価格(税込み)を示している。なお、これらの仕様値は、FF車のガソリンエンジンモデルでアイドルストップシステムを搭載するグレードを用いている(ノア/ヴォクシーは「Xグレード」、セレナは「20Xグレード」、ステップワゴンは「Gグレード」。セレナの20Xグレードは、アイドルストップシステムではなくS-HYBRIDを搭載している)。
車両名 | 新型ノア/ヴォクシー | セレナ | ステップワゴン |
---|---|---|---|
外形寸法 | 4695×1695×1825mm | 4685×1695×1865mm | 4690×1695×1815mm |
ホイールベース | 2850mm | 2860mm | 2855mm |
最小回転半径 | 5.5m | 5.5m | 5.3m |
エンジン性能 | 112kW/193Nm | 108kW/210Nm | 110kW/193Nm |
燃料タンク容量 | 55l | 60l | 60l |
JC08モード燃費 | 16.0km/l | 16.0km/l | 15.0km/l |
室内寸法 | 2930×1540×1400mm | 3060×1480×1380mm | 3095×1500×1395mm |
スライドドア開口部の寸法 | 805×360mm | 802×450mm | 700×390mm |
荷室開口部の床高さ | 500mm | 520mm | 525mm |
車両価格 | 237万円 | 238万4550円 | 218万8000円 |
表1 5ナンバーミニバンの比較 |
外形寸法は、3車種とも全長と全幅が5ナンバーの限界サイズに近い値になっている。新型ノア/ヴォクシーは全長を100mm伸ばしたが、セレナとステップワゴンに対抗するには必要不可欠な対応だったと言えるだろう。一方、全高については、新型ノア/ヴォクシーが25mm低減したこともあってセレナが一回り高くなった。
ホイールベースは2850〜2860mmとほぼ変わらない。ただし、最小回転半径はステップワゴンが5.3mと、新型ノア/ヴォクシーとセレナに優っている。
ガソリンエンジンの性能については、3車種とも排気量が2.0lなのでそれほど大きな差はない。セレナの最大トルクが17Nmほど高い程度である。ただしセレナの場合、S-HYBRIDの最高出力1.8kW/最大トルク53.6Nmのモーターも走行に利用できるので、より高い走行性能が得られそうだ。
燃料タンク容量は、セレナとステップワゴンが60lなのに対して、新型ノア/ヴォクシーは55lと少ない。従来モデルと比べても5l減っている。これは、低床プラットフォームを新開発する上で、薄く長い形状に変更する必要があったためだ。
JC08モード燃費は新型ノア/ヴォクシーとセレナが16.0km/l、ステップワゴンが15.0km/lとなっている。セレナのJC08モード燃費は、2012年7月にS-HYBRIDを導入した際には15.2km/lだったが、2013年12月のビッグマイナーチェンジで16.0km/lまで向上させている。また、燃費差以上に気になるのがエコカー減税だ。新型ノア/ヴォクシーとセレナは自動車取得税が免税になる「+20%対象車」だが、ステップワゴンは75%軽減にとどまる「+10%対象車」だ。
室内寸法は、室内長でステップワゴン、室内幅と室内高さで新型ノア/ヴォクシーが最も大きい。ステップワゴンは室内高さも1395mmと新型ノア/ヴォクシーとほぼそん色がなく、発売時期が最も早かったにもかかわらず室内空間の広さで優位性を保っている。
2列目シート、3列目シートの乗員の乗降性に影響するスライドドア開口部の寸法は、新型ノア/ヴォクシーに優位性がある。開口幅が805mmと最も広く、乗り込み口の高さも360mmと最も低い。セレナは、開口幅が802mmと同等だが、乗り込み口の高さが450mmと高いため、途中にステップを設けている。ステップワゴンは、乗り込み口の高さが390mmと新型ノア/ヴォクシーに次いで低いが、開口幅は700mmと100mm以上狭い。また、荷物の積み降ろしに影響する荷室開口部の床高さは、低床プラットフォームを採用した新型ノア/ヴォクシーが500mmと最も低い。
税込み価格は、ステップワゴンが218万8000円と最も安価で購入できる。新型ノア/ヴォクシーは237万円、セレナは238万4550円と20万円ほど高い。ただしセレナの場合、約8万円相当の自動ブレーキ機能「エマージェンシーブレーキ」と「LDW(車線逸脱警報)」を標準装備している。一方、新型ノア/ヴォクシーとステップワゴンは自動ブレーキ機能を装備することはできない。
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