集光レンズと自動運転で太陽電池搭載車を1日で満充電に、フォードがCESで公開:2014 CES
Ford Motor(フォード)は、「2014 International CES」において、太陽光発電パネルを車両の屋根に搭載するプラグインハイブリッド車のコンセプトカー「C-MAX Solar Energi Concept」を出展する。集光レンズと自動運転技術の活用により、太陽光発電パネルによる1日間の充電だけで満充電にさせられるという。
Ford Motor(フォード)は2014年1月2日(米国時間)、消費者向けエレクトロニクスの総合展示会「2014 International CES」(2014年1月7〜10日、米国ネバダ州ラスベガス)において、太陽光発電パネルを車両の屋根に搭載するプラグインハイブリッド車のコンセプトカー「C-MAX Solar Energi Concept」を出展すると発表した。
C-MAX Solar Energi Conceptは、ベース車両であるプラグインハイブリッド車「C-MAX Energi」の屋根にSunPower製の太陽光発電パネルを搭載したコンセプトカーである。最大の特徴は、太陽光を効率よく集光できるフレネルレンズシステムと、集光した太陽光が常に太陽光発電パネルに照射されるようにする自動運転技術の組み合わせにより、太陽光発電パネルによる1日間の充電だけで容量7.6kWhのリチウムイオン電池パックを満充電にできることだ。なお、C-MAX Energiは、エンジンを使わずにモーターだけで走行するEV走行距離が21マイル(約33.8km)となっている。
フレネルレンズシステムは、住宅の駐車スペースに設置される簡易屋根のような形状となっており、日の出から正午、日の入りまで太陽光を効率よく集光する。フレネルレンズを備える屋根部の高さは4.72m、奥行きは5.3m、幅は4.3m。集光率は8倍に達するという。ただし、フレネルレンズシステム自身は動かないので、太陽が東から西へと移動すると太陽光を集光する場所も変わってしまう。そこで、C-MAX Solar Energi Conceptの屋根に搭載した太陽光発電パネルに集光した太陽光が当たるように、自動運転技術を使って車両を最適な位置に移動させる。
フォードによれば、C-MAX Solarと Energi Conceptとフレネルレンズシステムを使えば、電力網が整備されていない場所でも車両への充電が可能になるという。
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