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設計業務も技術コミュニケーションも「6W2H」が基本中の基本甚さんの「コミュニケプレゼン」大特訓(3)(3/3 ページ)

小学校の作文の授業で習った覚えがある「5W1H」。これを満たせばすっきりと正確に説明できること請け合い。でも、設計業務においては、それだけでは足りなくて……。

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ホチキスで説明してみよう

 図2を見てください。「握力の弱い人でも使いやすいホチキスの開発」……これをトライアルしてみましょう。


図2 おなじみの事務用ホチキス(一般的なホチキス)

 まず、この商品を、見たことも使ったこともない人へ説明してください。恐らく、10人が10通りの説明をするでしょう。説明を受けた人は、「書類をとじるための文房具であること」は理解できると思います。

 ところが説明がうまくないと、説明を受けた側が、「こういう使い方をしてもよいのか」「紙以外の素材はとめられるのか」など疑問を抱きます。そして、いざ購入となれば、「1000円なの? 100円なの?」という具合に、何度も質問することになります。

良

そう、そう! そうなんです!! 僕も、仕事で何か説明すると、何度も何度も質問されます。ちゃんと説明しているつもりなのに……。


エリカ

私も、とある人に、何度も何度もデートに誘われます。「あんたに興味ない」って言っているつもりなのに……。


良

ええっ! 誰それ? ねえ?


甚

2人とも、修行が足らねぇ証拠だぜぃ!


良

エリカちゃんのは、ちょっと違うんじゃないですかね……。


 「何度も質問される」――これを回避するのが、コミュニケプレゼンスキルアップであり、その中の1ツールである「6W2H」です。さて、表4は、筆者による「一般的なホチキスを説明するための6W2H」です。このような簡単なフォーマットで、何を説明するかではなく、どのように説明するかを事前に練る必要があるのです。

 6W2H:何を話すのではなくどう話すかが重要、そのための道具である。


表4 一般的なホチキスの6W2H(「ついてきなぁ!昇進したあなたに贈る『勝つための設計力』」日刊工業新聞社刊より)

 そして常に、「6W2H」を訓練しておけば、毎度毎度、事前に練る必要がなくなります。新人設計者のあなたには、この訓練が必要です。この「訓練」が設計者の修行です。

甚

ここまで理解したか? 表4は、あくまでも、一般的なホチキスの6W2Hだ。そんじゃ、さっきゆった「握力の弱い人でも使いやすいホチキスの開発」の場合はどうする? あん?


良

え〜〜と……。


甚

「エイト(8)」じゃねぇ、「ろく(6)」だって言ってるだろ!! 6W2Hっ!


良

……。


エリカ

私なら、6W2Hの「Whom」と「Where」の項目を修正しますね。Whomには幼児や高齢者を付加、Whereには、幼稚園、小学校、高齢者集合ホーム、リハビリセンターを追記します。


甚

そうだ、さすがエリカちゃん! 設計の基本である、「企画書」「設計仕様書」の出来上がりだ! これがなきゃ、設計はできないはずだ! 6W2Hを理解できねぇやつが、ガラケーを作っちまったんよ!


良

ぬおっ! 負けたー。


 次回も、コミュニケプレゼンのための道具であり、設計者必須の設計のための道具である「6W2H」を学びます。ご期待ください。

 また次回お会いしましょう。


関連キーワード

設計 | 「甚さん」シリーズ | 3次元CAD



Profile

國井 良昌(くにい よしまさ)

技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会、埼玉県技術士。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。

1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)をはじめとする多数の書籍を執筆。



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