パナソニックが車載燃料電池の評価装置を開発、100kWの大出力に対応:電気自動車
パナソニックとパナソニック プロダクションテクノロジーは、燃料電池車などに搭載される水素燃料電池を評価する装置を開発した。家庭用燃料電池システムの開発で培った評価技術を基に、2k〜100kWの大出力に対応する高精度な水素ガスの圧力制御や温度制御、電流制御の機能を追加することにより実現した。
パナソニックと100%子会社のパナソニック プロダクションテクノロジーは2013年12月6日、燃料電池車などに搭載される大出力の水素燃料電池を評価する装置を開発したと発表した。自動車メーカーの他、燃料電池材料メーカーなどに展開することで、燃料電池車の開発の加速に貢献したい考え。
今回の評価装置は、発電モジュールを複数枚積層したショートスタック向けと、発電モジュール単体で構成する単セル向けの2種類がある。家庭用燃料電池システムの開発で培った評価技術を基に、2k〜100kWの大出力に対応する高精度な水素ガスの圧力制御や温度制御、電流制御の機能を追加することにより実現した。これまでパナソニックが大学などに販売していた、出力660Wまでの単セルの評価が可能なプロトタイプ品と比べて、150倍以上の高出力に対応できることになる。
また、供給する水素ガスの露点を高精度に制御する機能や異物(コンタミ)を介在させない構造が、燃料電池の開発効率向上に役立つという。プログラム機能により、性能の評価だけでなく、耐久性の評価も行える。
燃料電池の研究開発では、単セルやショートスタック、実機に搭載する規模で発電モジュールを積層したフルスタックに対して、燃料である水素、空気の温度、露点、流量を変化させ、短時間および長時間の発電特性評価を行う。そして、最適な電解質膜や触媒などの材料組成と、構造および接合プロセスを決定していく。これらの項目や条件を測定する際の精度不足により、燃料電池の開発効率が上がらないことが課題になっていた。
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