ブリヂストンの「空気のいらないタイヤ」が超小型EVで使用可能に、実用化も視野:東京モーターショー2013
ブリヂストンは、「第43回東京モーターショー2013」において、空気を充てんする必要のないタイヤ「エアフリーコンセプト(非空気入りタイヤ)」の第2世代品を披露した。超小型EV「コムス」に装着して走行する映像も公開。数年後以内を目標に実用化したい考えだ。
ブリヂストンは、「第43回東京モーターショー2013」(2013年11月20日〜12月1日、東京ビッグサイト)のプレスカンファレンスにおいて、空気を充てんする必要のないタイヤ「エアフリーコンセプト(非空気入りタイヤ)」の第2世代品を披露した。
エアフリーコンセプトは、タイヤ側面に張り巡らした熱可塑性樹脂製の特殊形状スポークによって車両からの荷重を支えるタイプのタイヤである。空気の充てんが不要なのでメンテナンスの回数が少なく済み、パンクの心配もない。同社は、前回の「東京モーターショー2011」において、ゴルフカート程度の車両であれば使用可能な技術を発表していた。
今回発表したのは、耐荷重性や走行性能の向上、転がり摩擦の低減などによって、国土交通省が導入を推進している超小型モビリティでも使用できる第2世代品である。車両重量が410kgのトヨタ車体の超小型電気自動車(EV)「コムス」に装着し、コムスの最高速度である時速60kmで走らせることができたという。サイズは、外形が530mm、幅が125mmである。これに対して第1世代品の場合、車両重量が100kgのゴルフカートを時速6kmまでの速度で走行させられる程度で、サイズも外形で340mm、幅70mmと小さかった。
第2世代に技術を進化させるため、特殊形状スポーク部の材料として、高強度でありながら柔軟性を持つ新たな高機能樹脂を採用した。また、スポーク部の設計では、タイヤ内部の応力や歪み(ひずみ)をより低減させられるようにFEM(有限要素法)シミュレーションを活用した。これによって、転がり抵抗の主要因であるタイヤ内部の応力が削減され、同社の低燃費タイヤ「ECOPIA EX10」よりも転がり抵抗が小さくなった。
同社専務執行役員の森本芳之氏は、「今後は実用化に向けた新たな段階に入る。耐久性の実証や、使用している熱可塑性樹脂などのリサイクルに関する実証を進めながら、数年以内にエアフリーコンセプトを実用化できるよう開発を進めたい」と述べている。
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