「理想的なパフォーマンスを実現する!」――ローム、Atom E3800用パワーマネジメントICを開発:車載・産業機器に最適
ロームは、インテルが2013年10月に発表した組み込み機器向け「インテル Atom プロセッサー E3800ファミリー」用のパワーマネジメントIC(PMIC)「BD9596MWV」を発表した。
ロームは2013年11月15日、インテルが同年10月に発表した組み込み機器向け「インテル Atom プロセッサー E3800(以下、Atom E3800)ファミリー」(開発コード:Bay Trail-I)用のパワーマネジメントIC(以下、PMIC)「BD9596MWV」を開発したと発表した。
ロームにとって、インテルとのコラボレーションは、2010年9月に発表したAtom E600用チップセット、2013年3月に発表したタブレット端末向けのPMICに続く、第3弾の取り組みとなる。「Atom E3800とBD9596MWVを組み合わせることで、システム全体の消費電力の大幅な低減、実装面積および実装部品点数の削減を実現する」(ローム LSI商品戦略本部 副本部長 太田隆裕氏)という。
Atom E3800は、あらゆる機器がネットワークに接続される「モノのインターネット(Internet of Things:IoT)」時代を見据えて投入された製品ファミリー。KIOSK、デジタルサイネージ、自動販売機、ATM、POS端末、医療端末、車載情報端末といった、近年、ネットワーク接続で利用されることを想定したインテリジェントな組み込み機器向けに最適だという。主に、メディア/グラフィックス性能の向上、ECC(Error Correcting Code)、統合されたセキュリティおよび画像信号処理、産業向け対応温度範囲、低消費電力などの特長を備える。
今回ロームが開発したBD9596MWVは、電源供給タイミングを自動制御する電源ON/OFFシーケンスを内蔵し、1チップでAtom E3800とDRAMに必要な全ての電源を供給することができる16チャネルのシステム電源ICである。ローム独自の過渡負荷応答特性を備えた電源コアおよび、DC/DCコントローラを2チャネル、DC/DCレギュレータを3チャネル、IMVP7Liteコントローラを2チャネル、LDOを8チャネル、Load SWを1チャネル、10×10mmの1パッケージに内蔵している。
従来、複数の電源系統を個々のディスクリート部品で構成した場合、部品選定やシーケンス設計、検証などが複雑となり、大きな負担となっていた。BD9596MWVはこうした設計負荷を大きく軽減するものであり、Atom E3800と併せて利用することで、ディスクリート部品で構成した基板エリアと比較し、実装面積を50%削減、総部品点数も40%削減できるという。さらに、Atom E3800とBD9596MWVの展開として、車載機器や産業機器も視野に入れており、車載機器向けにUVLO、TSD、SCP、OVPなどの保護機能の内蔵、広範な動作温度範囲(−40〜+95℃)に対応するなどの最適化が図られている。
「インテルとロームは長年にわたり強固な協力体制を築いてきた。今回の成果はそれを象徴するもので、プロセッサ駆動用専用ICの域を超えた、理想的なパフォーマンスを実現できたのではないか」と太田氏。
なお、PMICは単体では評価が難しいため、今回、手軽に評価できるようリファレンスボード(Mini-ITXサイズのマザーボード)「GOJYO-BT」を用意し、これを貸し出す計画だという。また、GOJYO-BTを購入したいという場合には、同機能を備えたボード「NEX616」が台湾Nexcom International社から販売されており、こちらから入手できるとのことだ。
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