新型「スカイライン」が示唆する日産の自動運転技術の実現性:安全システム(2/2 ページ)
日産自動車は、スポーツセダン「スカイライン」をフルモデルチェンジし、2014年2月から国内販売を始める。新型スカイラインが世界初採用をうたう3つの技術は、同社が2020年までに複数車種で導入すると言明している自動運転技術との関連が深い。
運転支援システムも自動運転に向けて進化
自動運転車を実現する上で運転支援システムの進化も欠かせない。新型スカイラインに採用されたアクティブレーンコントロールと前方衝突予測警報は、他社に先駆けて採用する新たな運転支援システムである。
アクティブレーンコントロールは、時速70km以上で高速走行している際に、車線を維持するための修正操舵を減らす機能だ。ドライバーが意図せず車線から逸脱しそうな場合に車線維持を可能にする車線逸脱警報(LCW)や車線逸脱防止支援システム(LDP)とは異なる。「車線に対する進路のズレを減らし、直線性を高めて修正操舵を減らすシステムは世界初」(同社)だという。
同システムでは、フロントガラスの上部(ルームミラーの裏側)に設置した車載カメラで車線に対する車両の向きを検知する。横風や路面の傾斜などがあっても、タイヤの角度と操舵反力を微調整して、車線に沿って走行する際の修正操舵が減るので、長距離運転時の疲労感を軽減できるというわけだ。
前方衝突予測警報は、前方車両の前にいる車両、つまり2台前を走る車両の動きを検知し、前方車両の急な減速を予測する機能である。玉突き衝突では、車列の先頭を走行している車両が急ブレーキを掛けることによって、後続の車両が対応できず次々とぶつかることで発生する。一般的な運転支援システムが前方車両の動きに合わせて自動ブレーキを行うのに対して、前方衝突予測警報では、2台前を走る車両の動きを検知し、必要があれば自動ブレーキを掛ける。
この前方衝突予測警報は、新型ミリ波レーダーの採用によって実現した機能だ。また、この新型ミリ波レーダーによって、時速60kmで走行している場合でも前方車両との衝突を回避できる「エマージェンシーブレーキ」も導入できた。
この他、車両後部の左右に設置した準ミリ波レーダーを用いる運転支援システムも採用している。変更先の車線に車両がいる場合に、警報を発したり、車両を元の車線に戻す方向に力を発生させたりする「後側方衝突防止支援システム(BSW)」と、駐車場からバックで出る時に接近する車両を検知し、アクセルペダルに反力を掛け、自動ブレーキで衝突との接触を回避する「後退時衝突防止支援システム(BCI)」である。これらの車両の後方をカバーする運転支援システムにより、「日産初の全方位運転支援システムを実現できた」(同社)としている。
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